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25年前のきょう、阪神大震災が…

 25年前のきょう、阪神大震災が起きた。未曽有の被害を機に広まったり、生まれたりしたものが幾つもある。市民ボランティアや、けがの程度で応急処置の順を決めるトリアージなどだ▼当事者の証言録「災害エスノグラフィー」もその一つである。エスノグラフィーは文化人類学の研究手法で、特定の民族の社会を知るために聞き取りを行う。防災の専門家たちは、大震災を「初めて遭遇した、想像すらしたことのない異文化」とみなすことで、被災地で起きたことの克明な記録を目指した▼肉声は神戸市職員だけで約160人分あるという。消防隊員、避難所や遺体安置所の担当者。それぞれが、刻々と変わる状況下で何に直面し、どう対処していったかを語った▼以後も全国で災害があるたび、研究チームなどによって膨大な言葉が蓄積されている。証言から被災時の心理、判断や行動を追体験し、教訓を共有する取り組みも広がってきた▼岡山市の公民館で昨年あった講習では、5年前の関東・東北豪雨で家が漬かった自営業男性の話を読んだ。「どぶから水がジワーと染み出すように上がってきていました」「近所の人に、逃げるよって声をかけて歩きました」▼文字を追うと光景が浮かび、当人の迷いや不安が胸に迫ってくる。自分なら、この街ならどう備えるか。繰り返し想像したい。

(2020年01月17日 08時00分 更新)

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