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再生エネ見直し 主力電源へ一層の普及を

 太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しについて、経済産業省が先月、報告書案をまとめた。

 事業者が手掛ける大規模な太陽光と風力発電をFITの対象から外し、市場価格に連動した補助に切り替えることを柱としている。電気の買い取りにかかる費用を、電気料金に上乗せされる賦課金として支払っている家庭や企業の負担を減らすことなどが狙いだ。経産省は新たな制度の詳細を詰め、今月開会の通常国会を目指して関連法の改正案を提出する。

 FITは再生エネの普及に大きく貢献してきた一方で、負担の在り方も問題視されている。とはいえ、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの抑制や、脱原発依存社会の実現に向けては、再生エネを将来の主力電源として育てていくことが欠かせない。負担の軽減と、さらなる普及促進を両立させる制度にしなければならない。

 再生エネで発電した電気の全量を一定期間、大手電力会社が固定価格で買い取るFITは2012年7月に始まった。この制度が追い風となって、再生エネは太陽光発電を中心に順調に拡大してきた。水力発電を除く比率は制度開始前の2・6%から、17年度には8・1%に増え、水力を含めると16・0%に拡大している。

 ただ、普及に伴い賦課金も増えており、19年度は年間2兆4千億円に上る見通しだ。国民負担が際限なく増える事態は避けねばならず、手だてが必要なのは確かだろう。

 新たな制度は、建設費がさらに下がることが見込まれる大規模な太陽光や風力発電に適用する。発電事業者は卸電力取引市場や自社で探した相手先に電気を売る。国が定めた機関が、市場価格に応じた金額を上乗せして補助を支払う。市場価格が高い場合の補助額は少なくする。FIPと呼ばれる制度で、再生エネ普及が進む欧州を中心に導入されている。

 事業者にとっては、比較的安定した売電収入が見込めるなどの利点がある。国民負担の軽減を図りつつ、再生エネへの積極的な参入が進むよう、丁寧に制度設計することが重要だ。

 制度の見直しではこの他、再生エネの普及に伴い、大手電力会社の供給エリアをつないで電気を融通する送電線(連系線)を増強する際に、FITの賦課金と同様、投資費用を電気料金に上乗せして回収する仕組みを整えることや、太陽光パネルの不法投棄対策として、廃棄費用を発電事業者に強制的に積み立てさせることが盛り込まれた。

 政府はエネルギー基本計画で、再生エネの発電割合を30年度に全体の22~24%に引き上げる目標を掲げている。分散型エネルギーによる地産地消を進める観点からも、官民挙げて普及を加速させることが強く求められる。

(2020年01月15日 08時00分 更新)

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