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世界で初めて人工的に雪の結晶を…

 世界で初めて人工的に雪の結晶を作り、「雪は天から送られた手紙」の名言を残した中谷宇吉郎博士には、雪が降る様子も詩情豊かにとらえた文章が多い▼北海道の山中で、風のない夜空に懐中電灯を向けた時のことが「雪雑記」にある。「底なしの暗い空の奥から、数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちて来る。それが大体きまった大きさの螺旋(らせん)形を描きながら舞って来るのである」。沈黙と暗黒の世界にいると、静かに体が浮き上がる錯覚が起きたという▼古来雪は日本人の美意識も育んできた。もちろん雪国では克服の対象であろうが、「雪は豊年のしるし」とされ、豊かな雪解け水の恵みが期待できた▼だから少なければ少ないで心配になる。今季は全国的に記録的な少雪で、各地のスキー場で悲鳴が上がっている。先日の本紙にも、深刻な雪不足から岡山県北の施設が営業不能となり、「こんなに少ないのは初めて」との困惑の声が載っていた▼月末から雪まつりを迎える札幌市も同様で、遠い山間部からも雪像作りの雪を運んでいるという。南下する寒気の影響が弱いため、もうしばらくは少雪が続くとみられる▼おととしは大雪被害が相次いだ。地球温暖化に伴い、気候変動が大きくなったと誰もが感じていよう。じわりと汗がにじむのは暖冬のせいだけではなさそうだ。

(2020年01月15日 08時00分 更新)

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