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高橋大輔、北京五輪へ始動 アイスダンス転向「経験生かす」

フィギュアスケートのアイスダンスで新コンビを結成した村元哉中(左)と高橋大輔=10日、横浜市
フィギュアスケートのアイスダンスで新コンビを結成した村元哉中(左)と高橋大輔=10日、横浜市
全日本選手権でシングル最後の演技を披露する高橋大輔=昨年12月22日、国立代々木競技場
全日本選手権でシングル最後の演技を披露する高橋大輔=昨年12月22日、国立代々木競技場
最後の演技を終えた高橋に歓声を送るファン
最後の演技を終えた高橋に歓声を送るファン
 フィギュアスケート男子で2010年バンクーバー冬季五輪銅メダリストの高橋大輔(33)=関大KFSC、倉敷市出身=が男女一組で演技するアイスダンスでの22年北京五輪出場を目指して動きだした。

 数々の名プログラムで世界を魅了してきた「氷上のアーティスト」は、昨年末限りでシングル種目に別れを告げた。10日には横浜市で行われたアイスショーで、新たにコンビを組む18年平昌五輪アイスダンス日本代表の村元哉中(かな)=26=との演技を初めて披露した。高橋は出来について「課題しかない」と言いながらも映画「美女と野獣」の音楽に乗せて優雅に舞った。

 シングルのトップ選手のアイスダンス参入は異例だが、高橋特有の技術や世界観を存分に生かせる種目でもある。五輪3大会連続出場など日本男子のフィギュア界をけん引してきたレジェンドの新たな挑戦に注目が集まる。

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会場をぎっしり埋めた約1万人が総立ちになり、万雷の拍手を氷上のスケーターに注ぐ。「ありがとう」のボードが掲げられ、涙を流すファンもいる。

 昨年12月22日、国立代々木競技場(東京)で行われた全日本選手権の男子フリー。高橋大輔はシングルでは、自身最後の真剣勝負に臨んだ。けがの影響で調整が遅れ、ジャンプで転倒もあったが情感あふれるステップで観衆を魅了した。

 演技後、高橋は目を潤ませながら「シングルで滑った全てが思い出深い。最後にこんな大きな拍手をもらう自分は幸せ者。心残りはない。次(アイスダンス)に向けてすっきりといける」と率直に語った。

 ■大輔色

 アイスダンスは五輪でまだ日本選手の入賞さえなく、国内の注目度は決して高くない。そこにスター選手が参戦することで、新風を吹き込むのは間違いない。

 高橋が転向を公表したのは昨年9月。「アイスダンスを知れば、自分のスケートの価値観がもっと広がるんじゃないのかなというのが一番にあった」と新たなチャレンジに踏み切った理由を明かした。背景には、シングルの男子でトップを争うには複数の4回転ジャンプが求められ、難易度が極めて高くなっていることがある。高橋自身も「きつさを感じていた」と言う。

 一方、ジャンプに制限のあるアイスダンスで重要視されるのはスケーティングの技術だ。世界的に高く評価される深いエッジワークや滑らかな氷上の動作は高橋ならでは。何より会場の雰囲気を一瞬で“大輔色”に染めてしまう類いまれな才能は大きな武器になる。

 実際、その表現力や技術力は30代になった今でも衰えを知らない。暮れの全日本選手権では、ステップ、ターンなどのスケート技術、音楽に合った身のこなしや感情などを評価する5項目からなる「演技構成点」は85・28点をマークした。宇野昌磨(トヨタ自動車)の90・72点、羽生結弦(ANA)の89・72点に次ぐ全体3位で、世界のトップで通用する力を誇示した。

 ■別物

 2月に米フロリダ州へ渡り、著名な振り付け師のマリナ・ズエワ氏の下でアイスダンスへの挑戦を本格スタートさせる。

 パートナーを務める村元哉中は、米国出身のクリス・リードと組んだ18年平昌五輪で日本勢過去最高の15位に入った国内トップ選手。課題は、同じスケートとはいえシングルとは「全く別物」と高橋が言う要素の習熟だろう。2人が接近した滑走や女性を持ち上げるリフトなどは経験がない。

 とはいえ、これまで日本人男子初の五輪表彰台や世界選手権制覇などフィギュア界の歴史を次々と塗り替えてきたパイオニアだけに、期待が高まる。岡山を練習拠点とし、全日本選手権のアイスダンスを2連覇した小松原美里(倉敷FSC)ティム・コレト(米国)組も強力なライバルの出現を歓迎する。「自分たちを高める上で良い“燃料”になる」と小松原は話す。

 「スケート人生の新しいステージに向け、これまでの経験は必ず生きる。早く滑りたくて仕方ない」と高橋。今度はどんな偉業を成し遂げるか。

 たかはし・だいすけ 1986年、倉敷市生まれ。7歳で競技を始め、岡山勢初の冬季五輪代表となった2006年トリノ大会で8位、10年バンクーバー大会で銅メダルに輝き、同年の世界選手権で優勝した。14年ソチ五輪で6位となり、同年秋に引退したが、18年7月に32歳で現役復帰。同年12月の全日本選手権で2位に入った。翠松高出。
 
 アイスダンス 男女一組で音楽に合わせ、ステップ、リフト、スピンなどの技術や互いの動きの一致性を競う。同じ男女一組の「ペア」と異なり、基本的に男女が離れて滑ることはできず、1回転半を超えるジャンプやリフトで女性を頭より上に持ち上げることが禁じられている。日本勢の最高成績は五輪が15位、世界選手権は11位。五輪では1976年インスブルック大会で初採用され、2014年ソチ大会で始まった団体戦の種目でもある。

(2020年01月14日 09時31分 更新)

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