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経済の行方 地域の循環生み出したい

 第2次安倍政権が掲げた経済政策「アベノミクス」が始まって7年が経過した。国内総生産(GDP)は緩やかに拡大しているとの評価もあるが、経済格差は広がり、多くの国民にとっては景気回復を実感できないままの年明けだろう。

 アベノミクスの大規模な金融緩和は円安・株高をもたらした。しかし、企業は利益を内部留保に回し、賃金は伸び悩んでおり、経済の好循環は実現していない。政府が掲げた2%の物価上昇目標は遠く、金融緩和策は手詰まり感が強い。むしろ、超低金利政策によって金融機関の収益悪化や政府の財政規律の緩みなど、副作用が目立つようになってきた。

 昨年10月の消費税引き上げの影響は引き続き、注視しなければなるまい。「大盤振る舞い」とも評される政府の経済対策によって、2014年の前回増税時に比べると、駆け込み需要と反動としての落ち込みは小さいようだ。だが、社会保障制度などへの将来不安から現役世代が消費を抑制するなど、今後、消費マインドがさらに悪化するとの見方もある。

 今月1日から日米貿易協定が発効した。米国産の牛豚肉やチーズ、ワインなどの関税が下がり、消費者にはメリットがあるが、国内農家には逆風になる。18年に発効した環太平洋連携協定(TPP)の影響もあり、国内農業への支援強化は喫緊の課題だ。

 世界経済の減速も懸念される。米国と中国の貿易摩擦は昨年12月に第1段階の合意に至ったものの、予断を許さない。米国は11月に大統領選を控えており、トランプ大統領が自国経済を支えるためにどう動くかは予測不能と言わざるを得ない。

 夏には東京五輪・パラリンピックが開催され、消費拡大や外国人観光客の増加などさまざまな特需も予想される。正念場は五輪後だろう。景気の落ち込みをどう防ぐか。政府は今年、外国人訪日客4千万人の目標を掲げている。地方へ分散・誘致していく取り組みも欠かせないだろう。

 「働き方」について、これまで以上に問われる年になりそうだ。働き方改革関連法で昨年4月にまず大企業で始まった残業時間の上限規制が、今年4月からは中小企業にも適用される。長時間労働による過労死や健康被害を防ぐのが目的だ。企業の意識改革を進めなければならない。

 世界経済も国内経済も不透明感を増している。そうした中だからこそ、足元の経済のあり方を見直していきたい。地域の中で資金を回し、起業や事業継承などを支援する。地域の中に小さな雇用を積み重ね、若者が働ける選択肢を増やしていく。地方創生につながるこうした動きを育てる年にしていきたい。

(2020年01月06日 08時00分 更新)

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