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豪雨被災地復興 地域再生に弾みつけたい

 岡山、広島県などを襲った西日本豪雨は発生から間もなく1年半となる。被災地では2019年度を「復興元年」と位置付けて事業に取り組んできた。岡山県で特に被害が大きかった倉敷市真備町地区や総社市では、なお多くの人が仮設住宅での不自由な暮らしを余儀なくされている。生活や産業の基盤を取り戻す歩みを進め、地域の再生を加速させなければならない。

 岡山県によると、民間アパートなどを借り上げる「みなし仮設」を含め、先月中旬の時点で5市の約2千世帯が仮設住宅での生活を続けている。住宅の自力再建が難しい人に賃貸する災害公営住宅は、倉敷市が3カ所で計90戸を新設する計画で、20年度中の完成を目指している。総社市も市内2カ所で復興住宅として整備する。

 仮設住宅の入居期限は原則2年だが、昨年末にその延長が決まった。災害公営住宅が期限までに完成しないなど、やむを得ない事情がある世帯が対象となる。必要とする人に、しっかりとした生活拠点をできる限り早く提供できるよう支援を進めてほしい。

 仮住まいが続く被災者の中には、不慣れな生活の長期化で多大なストレスを抱えている住民も多かろう。昨年、被災1年を前に、建設型仮設住宅に入居する真備町地区の人向けに山陽新聞社が行った調査では、家族に体調が悪くなった人がいると答えた人が約4割いた。環境変化からくる不眠やうつ、イライラによる家族内のけんかといった悩みも明らかになった。

 倉敷市や総社市などでは、被災住民を訪問する活動を続けている。被災者によって千差万別のニーズをどうくみ上げ、関係機関との連携につなげていくか。被災者が孤立し、心身の健康を害することのないよう、きめ細かな見守りを息長く継続していくことが求められる。

 地域再生の鍵を握る産業分野では、事業再開が着実に進んでいるようだ。真備町地区でみると被災事業所・店舗の8割超が再開にこぎつけた。一方で、廃業を余儀なくされた事業所も1割弱に上る。再開したものの地域の人口減少のあおりを受けて災害前のような業績が戻らず、将来に不安を抱えている現実もある。

 治水機能を高めるためのインフラ整備は進みつつある。国土交通省と倉敷市は、真備町地区を流れる小田川の堤防拡幅などに着手している。岡山県もその支流と高梁川、岡山市内の砂川などで堤防の復旧や改良工事を進めたり、既に終えたりしている。

 水害に再び見舞われる恐怖から、被災地での生活再開をためらう人もいる。復興に向けては、住民が安心して戻れ、今いる人は安心して住み続けられるよう安全性を高める取り組みが欠かせない。

(2020年01月04日 08時00分 更新)

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