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歴代最長政権 ふさわしい遺産残せるか2020.1.3

 安倍晋三首相の通算在職日数が昨年11月、第1次内閣を含めて憲政史上最長となった。12月には2012年の第2次内閣発足からも7年を迎えた。

 自民党総裁の任期は来年9月まである。連続在職日数も今年8月24日、大叔父の佐藤栄作の2798日を上回り、単独1位となる。

 佐藤は沖縄返還、連続在職3位の吉田茂はサンフランシスコ講和条約の締結など、長期政権は歴史に名を刻んだ。安倍首相は歴代最長にふさわしい政治的レガシー(遺産)を残せるか。さらに問われる年になろう。

 「必ずや私の手で成し遂げていきたい」。臨時国会閉幕を受けた先月の記者会見で、強い意欲を示したのは、やはり憲法改正だった。

 だが、野党が首相主導の改憲論議に反発するなど実現への道は険しい。3年前に打ち出した今年中の改正憲法施行は困難な見通しである。

 同様に目指す戦後外交の総決算も八方ふさがりだ。北方領土交渉はロシア側の強硬姿勢で暗礁に乗り上げている。日本人拉致問題の解決へ、条件を付けずに日朝首脳会談を行うことを打ち出したが、北朝鮮が応じる気配はない。

 さらに、経済政策「アベノミクス」や、「1億総活躍」など毎年のように打ち出した新規施策も看板倒れの感が拭えない。経済を刺激し、政権の推進力にしてきたものの、多くの国民は景気回復を実感できず、社会保障の将来不安も置き去りのままだ。

 一方、臨時国会では首相主催の「桜を見る会」を巡る衆参両院の予算委員会質疑に応じず、説明責任を十分果たさなかった。相次いで辞任した2大臣の政治資金疑惑も解明されていない。長期政権のおごりや緩みにほかなるまい。

 そうした姿勢に世論は厳しい視線を向けている。共同通信社の12月の電話世論調査では、内閣支持率は42・7%と、11月の前回調査から6・0ポイント減り、不支持率が43・0%とわずかに上回った。

 「政治とカネ」の問題で追い打ちを掛けるように、目玉政策の統合型リゾート施設(IR)を巡り、元内閣府副大臣が年末に収賄容疑で逮捕された。首相は憲法改正を語る前に、国民不信の解消を優先すべきだろう。

 衆院は議員任期4年の折り返しを過ぎた。今年は解散時期も大きな焦点となる。

 内閣支持率の低下で野党は勢いづいている。立憲民主党と国民民主党は合流する方向で一致した。

 だが、政権が長期化した大きな要因が野党の力不足であることを忘れてはならない。政権を担える政党として国民の期待を集めるには、旧民主党政権の失敗とも向き合い、与党との違いを明確にした政策を示すことが必要だ。

(2020年01月03日 08時00分 更新)

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