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前田穂南「輝ける1年にしたい」 東京五輪イヤー幕開け

岡山の名ランナーの系譜を継ぐ前田穂南。東京五輪での金メダル獲得を掲げ、トレーニングを積む=岡山県総合グラウンド
岡山の名ランナーの系譜を継ぐ前田穂南。東京五輪での金メダル獲得を掲げ、トレーニングを積む=岡山県総合グラウンド
MGCで優勝し、ガッツポーズでゴールする前田=2019年9月15日、東京・明治神宮外苑
MGCで優勝し、ガッツポーズでゴールする前田=2019年9月15日、東京・明治神宮外苑
 アスリートたちが待ち焦がれた2020年が明けた。「輝ける1年にしたい」―。東京五輪女子マラソン代表に決まっている天満屋(岡山市)の前田穂南(23)は、花形種目のエースとして日本中の期待を集める。岡山が生んだ幾多の名ランナーの系譜を継ぎ、8月、夢の舞台を駆ける。

 1996年生まれ。干支(えと)が二回りした子(ね)年の前田を「フラミンゴ」と、ある解説者は例えた。166センチの長身に、すらりと伸びた手脚。ストライドを生かして軽やかに地面を蹴り、まさに飛ぶように走る。

 昨年9月の東京五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC、東京)の勝ちっぷりは鮮烈だ。小気味よくペースを刻み、16年リオデジャイロ五輪代表の福士加代子(ワコール)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)ら名だたるライバルを次々にふるい落としていく。20キロ付近で独走態勢を築き、2位の鈴木に4分近い大差を付ける2時間25分15秒でゴールテープを切った。岡山の名門実業団で力を育み4年半、全競技を通じて岡山県勢第1号の東京五輪代表に内定した。

 「ランナーが強くなる風土がある」と古里・岡山を語る五輪女子マラソン2大会連続メダリストの有森裕子さん(53)は郷土の先駆者に憧れてきた。日本女子初のオリンピアン、28年アムステルダム五輪陸上女子800メートル2位の人見絹枝(07~31年)を輩出した土地柄が「彼女(前田)にもエネルギーになっていると思う」と言う。

 天満屋女子陸上部は有森さんがバルセロナ五輪で人見に続く銀メダルを獲得した92年に発足。名伯楽・武冨豊監督(65)の下で2000年シドニー五輪から4大会連続でマラソン代表を送り出してきた。チームとして2大会ぶりに日の丸を背負う前田もそのバトンを引き継ぐ。天満屋の過去最高は7位。「先輩たちが届かなかったメダルを取りたい」

 5年前、まだ無名だった高校3年生の前田は、天満屋の採用試験の作文に「マラソンでオリンピックに出たい」とつづっている。MGC前は「優勝」を公言した。「言葉にしたのは目標だから。自信があるわけじゃない」と明かすものの、有言実行を貫いてきた。東京五輪では「金メダル」を掲げる。

 号砲まで220日。女子マラソンは8月8日、開催地は曲折を経て札幌に決まった。「どこであれオリンピックに変わりはない。やることは同じ。(海外勢の)スピードの上げ下げだったり駆け引きに惑わされないよう、自分のペースで後半まで押していける力を付ける」。覚悟は固まった。

 先月19日、前田は米国ニューメキシコ州アルバカーキに飛び立った。高地合宿で肉体を鍛え直し、日本と時差16時間の年越しを現地で迎える。標高1800メートル。澄み切った広大な空に昇る東京五輪イヤーの日の出は、若きエースの未来を明るく照らす。

 まえだ・ほなみ 兵庫県尼崎市出身。同市・園田東中から進んだ大阪薫英女学院高では3年連続で全国高校駅伝に出場したが、優勝した3年時を含め控え登録だった。2015年に天満屋入り。17年1月に初マラソンを走り、同年夏の北海道マラソンで優勝。五輪切符を獲得したMGCは6度目のフルマラソンだった。自己ベストは18年大阪国際女子で出した2時間23分48秒。

(2020年01月01日 07時24分 更新)

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