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1年を振り返る 改元と頻発した気象災害

 2019年の世相を表す漢字は「令」だった。30年余り続いた「平成」から「令和」へ。5月の改元で多くの人が時代の変わり目を意識した。だが、残念ながら元号が変わっても、自然災害の脅威は避けられないという現実を思い知らされた年でもあった。

 9月に首都圏を直撃した台風15号では送電用鉄塔の倒壊などで大規模停電が発生。10月に東日本を縦断した台風19号では各地の河川が氾濫し、災害関連死を含め90人以上が犠牲になった。川崎市のタワーマンションは地下の電気設備への浸水で一時生活困難になり、災害による多様なリスクを見せつけられた。

 岡山県内でも9月、新見市で局地的豪雨があり、土砂崩れや住宅の浸水などの大きな被害が出た。地球温暖化の影響で今後も豪雨など気象災害の頻発が予想されている。備えを進めなければならない。

 温暖化対策の強化が急がれるが、各国は踏み込んだ合意に至ることはできなかった。むしろ、世界を見れば排外主義や自国第一主義が台頭し、分断が広がっている。米中は貿易摩擦で応酬を続け、英国の欧州連合(EU)離脱問題は、迷走の末に離脱が確実になった。日韓関係は国交正常化以来最悪といわれる事態を脱していない。北朝鮮問題も2度の米朝首脳会談が注目されたものの進展せず、非核化の先行きは不透明なままだ。

 国内でも衝撃的な事件が続いた。7月、京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」が放火され、社員36人が死亡。殺人事件としては平成以降、最悪の惨事となった。10月には那覇市の首里城から出火し、正殿や北殿などが焼失した。

 胸の痛むニュースが多い中、明るい話題を提供したのはスポーツだった。秋に初めて日本で開催されたラグビー・ワールドカップ(W杯)で日本は初の8強入り。女子ゴルフでは8月、岡山市出身の渋野日向子選手が全英女子オープンで優勝を果たした。

 ノーベル化学賞に旭化成名誉フェローで、リチウムイオン電池を開発した吉野彰氏が選ばれたのも朗報だった。企業の研究が日本の科学技術力を支えていることを示した。

 政治に目を向けると、安倍晋三首相の通算在職日数が11月、明治・大正期の桂太郎首相を抜いて歴代最長となった。まれにみる長期政権となったが、弊害の方が目立つと言わざるを得ない。相次ぐ閣僚の辞任や大学入試制度での混乱、首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑が持ち上がり、年の瀬にはカジノを巡る汚職事件も発覚した。

 何より問題なのは政権が国会を軽視し、国民に真摯(しんし)に説明を尽くす姿勢がみられないことだ。「桜を見る会」では招待者名簿が廃棄されていた。昨年の官僚による公文書改ざんに加え、政府への不信感は募る一方だ。令和の時代、改めて民主主義の根幹が問われていると言えるだろう。

(2019年12月31日 08時00分 更新)

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