山陽新聞デジタル|さんデジ

真備の被災事業所 8割超再開 西日本豪雨1年5カ月 

真備の被災事業所 8割超再開 西日本豪雨1年5カ月 
被災を受け移転した川辺整骨院。利用者は豪雨前の5~6割で推移する
被災を受け移転した川辺整骨院。利用者は豪雨前の5~6割で推移する
 昨夏の西日本豪雨で産業も深刻な被害を受けた倉敷市真備町地区。被災した事業所の8割超が再開し、移転先から真備に戻る予定の店舗も出てきた。災害発生から1年5カ月がたち、まちに活気が満ちつつある一方、人口減の影響などで売り上げが回復せず将来への不安の声も上がっている。

 ◇

 同市玉島長尾のJR新倉敷駅近くにある美容室「M2(エムツー)」。25年営んだ真備町箭田の店舗が豪雨で損壊し、昨年8月から場所を移して再開した。知人の紹介で真備に新たな物件が見つかり、年内にも戻れるめどが立った。

 真備での再出発について、岡野嘉美社長(56)は「難しい決断だった」と言う。玉島では、大学に近い立地を生かし卒業式の着付けなど新たな需要をつかんできた。ただ常連客は遠のき、来店者は半分程度という。

 「不安がないと言えば嘘になる。でも、やるしかない」

 ■  □  ■

 真備船穂商工会が地元の499事業所に行った調査では、10月末現在で407事業所が再開。このうち5割超が通常営業、3割近くが縮小営業している。廃業は1割弱だった。

 同会支援課は「再開のペースは速かったが、サービス業を中心に『客数が回復しない』などと厳しい声も出てきた」とする。

 理由に挙げるのが人口減だ。真備の人口は災害前と比べ、約1割に当たる2千人減り、地区外のみなし仮設住宅では、今も約4400人が暮らす。

 「真備の利用客は豪雨前の半分ほど」と指摘するのは、日の丸タクシー(同有井)の平井啓之社長(48)。通院や買い物などで定期的に使っていた客が離れたという。

 同町川辺の店舗が全壊し、被災事業者向けの「復興商店街」(同町箭田)に移った川辺整骨院も、縮小営業とは言え、顧客は災害前と比べ5~6割の水準。角田裕司院長(48)は「会社帰りなどに利用していた人が少なくなった」と話す。

 国のグループ補助金を活用し、元の場所に店を構える計画も進める。ただ、制度上は2019年度中に建て替えを終える必要があり、施工がずれ込めば認定を受けられない可能性がある。「事業継続を悩んで決断が先送りになった経営者も多いはず。国は事情を考慮し柔軟に対応してほしい」と訴える。

 ■  □  ■

 先行きが不透明な中、新たな事業に活路を見いだす動きもある。

 自動車整備のサトウオートサービス(同町箭田)は11月、本社近くに中古車の展示場を整備した。地元の車検対応が主だったが、販売にも本腰を入れる。

 佐藤通洋社長(37)は「今までの仕事に加え、地域外の顧客をつかむ取り組みも必要」と強調する。

 真備に2支店を構える吉備信用金庫(総社市)は、災害関連でこれまでに約100件の融資を行った。相談内容の1~2割は苦境を訴える声という。須増隆仁・真備支店長は「豪雨から時間がたち、個々の経営環境が少しずつ見えてきた。販路開拓などのサポートを継続して行いたい」と話す。

(2019年12月08日 08時12分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ