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防犯電話普及、県内自治体が推進 特殊詐欺対策で補助や貸し出し

岡山市が本体価格の半額補助を行っている防犯機能付き電話とパンフレット
岡山市が本体価格の半額補助を行っている防犯機能付き電話とパンフレット
防犯電話普及、県内自治体が推進 特殊詐欺対策で補助や貸し出し
 高齢者を狙った特殊詐欺事件が多発する中、通話内容の自動録音機能などを備えた「防犯機能付き電話」の普及に向けた取り組みが岡山県内自治体で広がっている。全27市町村のうち、これまでに岡山、倉敷市など14市町が購入補助や貸し出し事業を実施。笠岡、瀬戸内市など7市町村も導入準備を進めている。詐欺グループは電話でのやりとりを通じて標的を絞り込むとされるだけに、接点を断つ効果が期待される。

 県内で最も早い2016年度に購入補助を導入した岡山市は、65歳以上のみの世帯に対して指定機種の本体価格の半額を負担する。本年度は既に129台分の申し込みがあり、当初予定した予算をほぼ使い切ったという。

 同市の利用者アンケートによると、18年度に補助を受けた81人のうち、62%が迷惑電話が「かなり減った」と答え、「少し減った」と合わせ87%が効果を実感しているとの回答だった。

 そうした先行自治体の実績に加え、県警の働き掛けもあって、本年度に入り10市町が事業化。補助内容は、エリア内の高齢者世帯か高齢者が含まれる世帯を対象に、1万~5千円を上限に費用の半額程度を補助するのが一般的で、無償の貸し出しや、既存の電話に取り付ける通話録音装置の購入補助を行うケースもある。

 倉敷市は11月から防犯機能付き電話の半額補助(上限7千円)と通話録音装置の無償貸し出し(1年間)を開始。いずれも先着50世帯だが、約1カ月で申し込みが半数近くに達した。真庭市では費用の半額補助(上限5千円)を10月から始めたところ、問い合わせが相次いだといい、担当者は「1件でも被害を未然に防ぎたい」と成果に期待する。

 注目を集める背景には深刻な被害実態がある。県警によると、県内の特殊詐欺被害は今年に入り10月末現在で91件2億220万円(前年同期69件2億9210万円)と高水準で推移。うち7割は犯人との最初の接触が固定電話だったという。

 現在は補助などを設けていない13市町村でも、来年1月の導入に向けて予算要求をしている笠岡市をはじめ、7市町村が準備中。「他自治体の効果や反響を調査する」(高梁市)などとして6市町村が検討中としている。

 立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「防犯機能付き電話は自らの声が残ることを嫌う犯罪者心理を利用しており、一定の効果が期待できる。防犯教育も含め社会全体で詐欺被害から高齢者を守る意識が重要だ」と指摘している。

 防犯機能付き電話 通話内容を自動録音した上で、着信時に「このお電話は、迷惑電話防止のため録音されます」といった警告メッセージを発信者へ通知する機能が付いた固定電話。簡単に非通知や特定番号を着信拒否に設定できたり、電話に出る前に相手に氏名を名乗るよう求めたりできる機種もある。

(2019年12月04日 23時21分 更新)

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