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日韓情報協定 関係改善の契機になるか

 日米韓の防衛協力が崩れる事態はひとまず回避されたとはいえ、必ずしも楽観視できない状況だ。

 日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の失効が回避され、対立が激化していた日韓関係が対話局面へと転換することになった。日韓両首脳による会談も今月下旬の開催が調整されている。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射や中国の軍備増強など北東アジアの安全保障環境は依然、緊張が続いている。協定が失効すれば、迅速で綿密な情報共有に支障を来すなど、日米韓の安保協力が後退する事態が懸念されていた。

 それだけに、失効を回避した韓国の判断は当然といえよう。これを足掛かりに、日韓両国が外交努力をさらに重ね、関係改善と信頼回復が進むよう期待したい。

 協定は軍事上の機密情報を提供し合う際、第三国への漏えいを防ぐために締結する。韓国とは2016年11月に結んでおり、毎年の自動更新が続いている。

 韓国が失効回避の判断をしたのは、日米韓の軍事連携の枠組みが壊れることを危惧する米国が破棄撤回を強く求めたことが大きい。来春に総選挙を控える文在寅(ムンジェイン)大統領は安易に日本に譲歩すれば支持層から反発を受けかねない立場だが、トランプ政権の圧力を無視できなかったようだ。

 協定の失効回避に絡み、日韓双方は貿易管理に関する協議を始めることでも合意した。これを受け、輸出規制強化を巡る日韓の局長級会合が今月、3年半ぶりに東京で開かれることになった。

 韓国側は安保上の輸出管理で優遇する「ホワイト国(優遇対象国)」からの除外措置を撤回するよう求めている一方、日本側は撤回に関して、人員増など韓国側の審査体制の強化といった厳格な条件を示している。互いの認識の違いから調整は難航が予想されるものの、丁寧な話し合いを続けてほしい。

 協定を巡る日韓の対立は昨年10月、元徴用工訴訟で日本企業に賠償が命じられたのが発端だ。解決に向けた措置を講じない文氏に日本政府は不信感を強め、貿易管理での対立の影響は日本製品の不買運動や日本への韓国人旅行者の激減などに及んでいる。こうした状況は双方の国益にとってマイナスであり、1965年の国交正常化以降で最悪ともいわれる両国関係を改善することは急務といえる。

 元徴用工問題に対しては、韓国の国会議長が、日韓企業などからの寄付金を支払う内容の法案をまとめた。ただ、韓国内では法案について「日本側の謝罪が前提になっていない」などと反発が出ており、事態解決は見通せない。

 首脳会談は中国での日中韓の会談に合わせ開かれる方向だ。安倍晋三首相と文氏は建設的な対話を通じ、関係改善へ向けて指導力をしっかりと発揮することが求められる。

(2019年12月04日 08時00分 更新)

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