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膵臓がん治療 効果高める可能性 岡山大、新ウイルス製剤で確認

藤原俊義教授(左)と田澤大准教授
藤原俊義教授(左)と田澤大准教授
 岡山大大学院の藤原俊義教授(消化器外科)と岡山大病院新医療研究開発センターの田澤大准教授(遺伝子治療)らの研究グループは、独自開発した腫瘍融解ウイルス製剤・テロメライシンにがん抑制遺伝子「p53」を組み込んだ新たなウイルス製剤「OBP―702」をヒトの膵臓(すいぞう)がん細胞に投与すると、免疫が大幅に活性化することを試験管レベルの実験で確認した。

 免疫療法や化学療法と組み合わせることで、難治性である膵臓がんの治療効果を高める可能性があるといい、研究成果は28日に岡山市で始まった「日本バイオセラピィ学会」で発表した。

 グループは、これまでの研究でテロメライシンが肺がんなど複数のがん細胞に対して免疫の働きを高めることを確認しているが、マウスの皮膚がん細胞にp53を過剰に働かせると免疫が活性化されたとの海外の研究報告に着目。難治性のがん治療を目指し、OBP―702が膵臓がんにどう働くかを調べた。

 ヒトの膵臓がん細胞に投与すると、免疫が活性化したことを示す指標となる化合物「ATP」などが、テロメライシン単独投与の場合よりも2倍以上か2倍近くに増え、腫瘍の縮小も見られた。このことから、グループはOBP―702は免疫の働きを強く誘導するとともに、がん細胞を殺すと結論付けた。

 グループは現在、テロメライシンを製造する岡山大発のバイオ企業・オンコリスバイオファーマ(東京)と共同で、OBP―702を実際にヒトへ投与できるようにするウイルス製剤を開発中。藤原教授は「膵臓がんの新たな治療法の開発に向け、2022年までに臨床試験の開始を目指したい」と話している。

(2019年11月28日 22時44分 更新)

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