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高齢者のバス半額補助も、岡山市 公共交通改革案、路線再編求める

岡山市の公共交通網形成計画の素案が示された法定協議会
岡山市の公共交通網形成計画の素案が示された法定協議会
 岡山市は26日、市内を走る路線バスについて、高齢者や障害者の運賃を50%割り引く制度を創設する一方、事業者には路線再編を求める改革案を示した。バス利用が低迷する中、割引で利用促進を図るとともに、運行効率化を促して路線維持につなげたい考えだ。

 この日、市の地域交通の将来像を示す「地域公共交通網形成計画」策定に向けた法定協議会が市内で開かれ、計画のたたき台の主要施策として明らかにした。

 運賃割引は市中心部の路面電車を含む全路線・区間を対象とし、65歳以上の高齢者、障害者の運賃を半額にする。割引分は市が負担して事業者に支給する形を取る。事業費は年2・7億円と予測。これによりバス利用者は15%、路面電車は6%増えると見込む。

 路線再編は市中心部から東部の三野、高屋、南部の岡南、妹尾など周辺地域に向かう6方面を対象に提示した。複数事業者が重複して走らせている区間を調整・集約し、余った車両や運転手を他の路線に再配分して利便性を高める案を示したほか、路線再編してもスムーズに乗り継げるよう運行ダイヤを見直す。

 このほか、バス停のバリアフリー化▽路面電車のJR岡山駅乗り入れや延伸・環状化なども施策に盛り込んだ。市は本年度中をめどに計画を策定し、その後に具体的な路線の再編実施計画づくりに取り掛かる。

 大森雅夫市長は「バス事業者など関係者と議論するとともに、市民からも広く意見を聞いて計画をまとめたい」と話した。

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 岡山市が26日公表した「地域公共交通網形成計画」のたたき台には、市内を走る路線バスのルート再編や高齢者向けの割引など思い切った施策が盛り込まれた。背景には路線バスの廃止や減便が相次いでおり、手を打たなければ地域住民の移動手段が奪われかねないという危機感がある。

 市によると、路線バス利用者は約20年前から3割減少し、運行区間も24%減少。直近の1年間でも中心市街地と周辺部を結ぶ1路線が休止、市域をまたぐ3路線が減便した。

 全202系統も約8割の156系統が赤字。一定以上の赤字路線が廃止されれば、鉄道駅やバス停から遠い「交通不便地域」の人口は現在の20万人から27万人に膨らむという試算もある。

 今回のたたき台はこうした現状を打破するために打ち出したものだが、盛り込まれた施策が実現に向けて動き出すかは不透明だ。

 この日の法定協議会でも路線再編を巡り、委員を務めるバス事業者からは「市の想定通りにコストを削減できない部分があるし、乗客の利便を損なうところもある」と反論。昼の路線を減便して朝の路線を増やすという市の案も簡単にはいかないと指摘した。

 別のバス事業者は「企業は株主や乗客に対して責任を持っている。計画がうまくいかない時はどうするのか」と訴えた。

 一方、住民の委員からは「高齢者が外出の機会を奪われることがあってはならない。公共交通の維持に向けて取り組んでほしい」と着実な実施を求めた。

 事業者間の利害調整やサービスの見直しは簡単にはいかないが、住民の足を守るという原点に立ち返り、建設的な議論を進めていくことが欠かせない。

 地域公共交通網形成計画 2014年改正の地域公共交通活性化再生法に盛り込まれた。自治体や交通事業者、住民らが法定協議会などでバス路線の効率化や代替交通手段を議論し、まちづくりと連携した交通ネットワークを構築する。再編実施計画をまとめれば国の財政支援が受けられる。

(2019年11月26日 22時54分 更新)

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