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大学共通テスト 記述式も見送りの検討を

 大学進学を目指す高校生は気をもんでいるに違いない。2021年1月に始まる大学入学共通テストで、記述式問題の導入を懸念する声が広がっている。

 記述式は、現行の大学入試センター試験でも行われているマークシート式の問題に加えて、国語と数学に導入される。懸念の一つは採点ミスだ。50万人以上の受験が見込まれる中、各大学の2次試験に間に合うよう迅速に公平な採点ができるかである。

 昨年11月に行われた試行調査では、補正が必要な採点ミスが国語の抽出で0・3%あった。単純計算だが、50万人だと1500人に上ることになる。

 出願先を判断する際に重要な自己採点が難しいことも課題だ。試行調査で実際の成績とずれた生徒は国語で3割に達した。合格可能性が低い大学に出願してしまうことが心配されている。

 共通テストのもう一つの目玉だった英語への民間検定試験導入が見送られたことを受け、こうした記述式の抱える課題が改めて注目されている。国会審議で野党は採点者によって評価がばらつき、大勢のアルバイトの起用が予定されるため必要な専門性が欠如するなどと指摘した。

 一方、萩生田光一文部科学相は、2万人の高校生らが解答して採点の課題を検証する準備事業や、自己採点をしやすくする資料の作成などで問題の解決を図るとしている。

 採点業務を受注したベネッセコーポレーションのグループ会社も、本番に向けた準備状況を説明する文書で、設問ごとに3人以上で評価を行うとし「公平でぶれがない採点を行えるよう準備している」と強調した。

 だが、不安は拭えていないと言わざるを得ない。先日、文科省で記者会見した首都圏の高校生グループは、試行調査の問題を使って独自調査を行った結果、「自己採点が難しく、公平に採点することも不可能だ」として導入中止を訴えた。

 こうした中、文科省は国公立大に対し、合格可能性が低い受験生を門前払いする二段階選抜で、国語の記述式の成績を判断材料から外すように要請する検討に入ったとされる。本番までに問題を解決できない恐れがあることを認めたと言える。

 これらの状況を踏まえれば、導入の見送りもやむを得まい。共通テストを最初に受ける今の高校2年生のことを考えれば、速やかな決断が大切である。

 英語民間検定試験と記述式問題の導入につながった入試改革の議論は2013年ごろから本格化し、暗記型の知識ではなく「思考力」「判断力」「表現力」を問う重要性が指摘された。

 その考え方は理解できるものの、大規模な共通テストで可能なのか。これまでの経緯を検証するとともに、専門的な検討を重ねる必要がある。

(2019年11月18日 08時00分 更新)

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