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まび日誌―被災記者から 生徒が戻った運動場

整地された運動場で開かれた体育会。生徒たちの元気な姿は地域を励ましてくれた
整地された運動場で開かれた体育会。生徒たちの元気な姿は地域を励ましてくれた
 整地された運動場に、真っ白なラインが引かれている。中央に並んだ生徒たちは、緊張と安堵(あんど)が入り交じったような表情を浮かべていた。

 9日、2人の娘が通う倉敷市真備町地区の中学校で、例年より遅い体育会が開かれた。校舎はまだ復旧工事中で、別の中学校に仮校舎を設けているが、一足早く完成した運動場が生徒や保護者を迎えてくれた。久しぶりに足を踏み入れると、何ともいえない晴れやかな気分になった。

 短距離走やリレー、綱引き―。懸命に競技に取り組む生徒の姿を見ながら、1年前の光景が頭をよぎった。

 西日本豪雨の後、この場所は災害ごみの仮置き場となった。水没した家財道具や壊れた住宅の一部などが、3階建ての校舎と同じぐらいの高さに積み上げられていた。全壊した自宅や実家から処分する品をトラックに満載し、何度も通った。

 10月の台風19号では、東日本を中心に堤防決壊による浸水被害が相次いだ。新聞やテレビで報道された現地の状況は、まるで昨年の真備のようだった。水没した住宅、泥まみれの家財道具。胸が締め付けられ、直視できなかった。

 この災害からの復旧は、恐らく相当な年月を要するだろう。豪雨から1年4カ月余りが経過した真備でも、仮住まい暮らし、仮校舎での学校生活が続き、多くの児童・生徒が依然バスや車で長距離通学を続ける。

 「学校、めっちゃ近かったんじゃな」。体育会を終えて帰宅した娘たちが口をそろえた。当たり前の生活のありがたみを感じているようだった。

 見違えるようにきれいになった運動場と、はつらつとした生徒たち。一歩ずつではあるが、前に進んでいることを実感した一日だった。

(2019年11月17日 12時05分 更新)

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