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映画「高津川」、29日から上映 監督、主演甲本雅裕さんらに聞く

「文化や絆などお金では買えないものをいくら持っているかが大切。本当に必要なものは何か考えるきっかけにしてほしい」と話す(左から)戸田、甲本、錦織監督
「文化や絆などお金では買えないものをいくら持っているかが大切。本当に必要なものは何か考えるきっかけにしてほしい」と話す(左から)戸田、甲本、錦織監督
映画「高津川」の一場面((C)2019映画「高津川」製作委員会)
映画「高津川」の一場面((C)2019映画「高津川」製作委員会)
 「RAILWAYS」(2010年)「渾身(こんしん)」(13年)など島根県を舞台にした映画を撮り続ける錦織良成監督(同県出雲市出身)の最新作「高津川」が29日から、イオンシネマ岡山(岡山市)など中国各県で先行上映される。過疎の進む地域で伝統文化や家業の継承に悩みながら懸命に生きる人々の姿を描き出す意欲作。来岡した錦織と映画初主演となる甲本雅裕(岡山市出身)、ヒロイン役の戸田菜穂(広島市出身)に見どころを聞いた。

 1級河川では珍しくダムが一つもない、島根県西部を流れる高津川。物語は日本一の清流ともうたわれるこの川と、地元に伝わる石見神楽を軸に進む。

 何気ない日常を捉える描写力、柔らかな映像センスで知られる錦織の真骨頂ともいえる今作。“日本のローカルは世界最先端のモデルケース”を信条に、「島根は人口減や高齢化などローカルの全てが凝縮された場所。一見ネガティブだがポジティブに捉えて、その中でどう生きていけるのかを示したかった」と話す。

 錦織作品の常連で、サラリーマンから暴力団員まで多様な役をこなす名バイプレーヤーの甲本は、「役者を30年やってきて初主演はうれしいが、実はどれだけ主演に見えないようにするかにこだわった」と打ち明ける。演じた斎藤学は牧場を営むも妻を亡くし、母と娘、息子の4人暮らし。今年神楽の舞台を踏む息子が稽古をさぼってばかりで、進路にも気をもむ日々を過ごす。どこか疲弊した役どころに「僕が熱くなりすぎると、映画のテーマやそこに住む人々の思いが伝わらない気がした」と振り返る。

 撮影は昨秋、高津川流域を中心に益田市や津和野町などで行い、自然豊かな川辺の風景、神楽の臨場感を紡ぎ出した。広島市郊外の生まれで「懐かしさを感じる地域にすんなり溶け込めた」と話す戸田。学の同級生で、母親の介護をしながら老舗和菓子屋を切り盛りする陽子役を演じた。

 物語が進むにつれ、高津川上流にリゾート開発が持ち上がり、学たちは地域の将来を考える大きな分岐点に立たされる。錦織監督は「『上流』の環境が変わると、実は都市部の『下流』にも多大な影響を与えるが、多くの人はそれに気づいていない」と問題提起する。

 「生きる上で本当に大切なものは何だろうかと、人生を見直すきっかけにしてもらいたい」と戸田。甲本は「たくさんのテーマが詰まっている。川の流れのようにゆったりとした映像の中で、少しでも感じることがあればうれしい」と呼び掛けた。

(2019年11月15日 19時32分 更新)

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