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開設1年余り 見守り訪問2万件 倉敷市真備支え合いセンター

倉敷市真備町地区の仮設住宅団地を訪問する市真備支え合いセンターのスタッフ=1日
倉敷市真備町地区の仮設住宅団地を訪問する市真備支え合いセンターのスタッフ=1日
倉敷市真備支え合いセンターから届いた絵手紙を手にする独居女性
倉敷市真備支え合いセンターから届いた絵手紙を手にする独居女性
 昨夏の西日本豪雨で被災した倉敷市真備町地区の住民を訪ねて見守る「市真備支え合いセンター」が、開設から1年余りたった。訪問件数は延べ2万件を超え、被災者の状況に応じて関係機関と連携するなど、きめ細やかな支援を目指す。一方、数千に及ぶ被災世帯に対してスタッフ数には限りがあり、課題も見えてきた。

 〈あたたかくしてお過ごしください〉

 10月下旬、倉敷市郊外の「みなし仮設住宅」で独り暮らしをする80代女性に、はがきが届いた。ブドウの絵に手書きのメッセージが添えられている。差出人は市真備支え合いセンター。被災者を励ますため、7、10月の2回郵送されたものだ。

 女性の元には月1回程度、センターから職員が来て体調や日常生活を尋ねるという。「初めは1回30分ほど話していた。ただ最近は『次があるから』と数分で帰っていく」と言い、声を落として続けた。「それでも、来てくれるだけでありがたいと思わないとね…」

50人体制

 センターは昨年10月、市真備支所(真備町箭田)に設置された。市から委託を受けた市社会福祉協議会が運営に当たる。スタッフは約50人体制。うち45人程度は真備町地区にゆかりのある人を中心に、新たに雇用した。

 2人一組で手分けして、被災した全世帯(罹災=りさい=証明書の発行ベースで6200件超)を戸別訪問。この中には、県内10市町に点在する「みなし仮設住宅」に身を寄せる人(10月末時点で約4700人)も多く、地区内外で活動を続けている。

 被災後しばらくは、心身の健康に関する相談などがメインだったが、最近は住居の再建やコミュニティーの再生といった話を聞く機会が多いという。

 訪問の頻度は、被災世帯の健康や経済状況などによって変えている。最も多い世帯では「2週間に1回程度」だが、少ない世帯だと「これまでに1回」。市被災者見守り支援室の担当者は「マンパワーを考えれば、頻度に濃淡をつけざるを得ない」と打ち明ける。

連携

 他の支援者と連携を図り、必要に応じて被災世帯とつなぐのも重要な役割の一つだ。

 特に複合的な課題を抱えている世帯については、高齢者や生活困窮者、障害者らをサポートしている専門機関を集めて会議を開催。情報交換した上で、個々のケースに合った支援方針を決めている。

 被災者支援に詳しい斉藤康則・東北学院大准教授(地域社会学)は「被災世帯の多さを考えれば、センターだけで支援するのは限界がある」と各機関との連携の必要性を指摘。その上で「被災者の孤立防止は欠かせない。それぞれが現在暮らす地域社会とのつながりを深めるために、お年寄りのサロン活動など、既に行われている取り組みへの参加を後押しするといった工夫も求められる」と話す。

 県内の西日本豪雨被災者の見守り支援 昨年10月、倉敷市は市真備支え合いセンター、総社市は市復興支援センターを立ち上げてそれぞれ始めた。運営は各市社会福祉協議会に委託し、事業費は全額国負担。県は各スタッフの技術向上に向けた研修会、連携を図る会議などを開き、運営を後押ししている。

(2019年11月15日 12時11分 更新)

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