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ユダヤ人作曲家の歌曲披露 福山 日独女性デュオが国内ツアー

ホロコースト記念館で行われたコンサート
ホロコースト記念館で行われたコンサート
 ナチスドイツによって演奏や視聴を禁じられ、忘れ去られかけたユダヤ人作曲家の音楽を演奏している「ゲルンスハイム・デュオ」の2人が日本で初めてのコンサートツアーを行った。最初の演奏地として福山市御幸町中津原のホロコースト記念館を選び、10月25日にコンサートを開催。約100人が耳を傾けた。

 ピアニストのクリスト加藤尚子さん(43)と元ジャーナリストのドイツ人ソプラノ歌手アナ・ガンさん(46)が2016年に結成。ヨーロッパを中心に演奏活動を続けている。

 現在も楽譜が見つかっていない曲も多く、加藤さんは「初めて彼らの音楽を聴いたときは誰も知らなかった場所に色とりどりの宝石を見つけたようだった」と振り返る。

 ガンさんはドイツのラジオ局でジャーナリストをしていた頃から番組でユダヤ人の音楽を紹介しており、「伝える手段は変わっても、差別への問題意識とそれを伝えたいという思いは変わらない」と力を込める。

 25日はユニット名の基になったフリードリッヒ・ゲルンスハイムやカール・ゴルトマルク、ザロモン・ヤーダスゾーンといったユダヤ人作曲家の歌曲を披露した。亡くなる直前の妻に語りかける歌やハインリヒ・ハイネの詩を基にしたおとぎ話のような歌を、ときに優しく語りかけるように、ときにコミカルに情感豊かに披露した。

 加藤さんは演奏の合間、ホロコーストについて「自分と関係ないと目を背けるのでなく、事実を知って考えることはできる。いじめや難民問題などホロコーストから学ぶことは多い」と訴えた。

 福山市の会社員(43)さんは「初めて聞く曲ばかりだったがどれも美しかった。一度は失われた曲と思うと考えさせられる」と話した。

 ガンさんは「大勢の観客が熱心に耳を傾けてくれて最高だった」、加藤さんは「純粋に音楽を味わってもらい、その背景にあった差別や平和についても考えてもらえたら」と話した。

 2人は広島市、神戸市などでもコンサートを行った。

(2019年11月13日 18時51分 更新)

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