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魅力発見 秋の島旅(上)本島・高見島 歴史、風土をアートに

 瀬戸内海の島々を舞台とする現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」の最後を飾る秋会期が始まった。香川県中西部の4島(本島、高見島、粟島、伊吹島)が会場に加わり、11月4日まで220作品・イベントが11島2港で披露される。秋は芸術鑑賞、観光、味覚といずれも絶好のシーズンだ。新会場の4島を歩き、その魅力を紹介する。

 歩いても、歩いても千本格子窓の立派な家屋や、なまこ壁の蔵のある町並みが続き、タイムスリップ気分になる。塩飽諸島・本島(丸亀市)は戦国時代には塩飽水軍の本拠地、江戸時代は水運の要衝として栄えた。家々は江戸期のものも多く、造船技術の流れをくむ塩飽大工が建てたという。

日本家屋の玄関を無数の花飾りが彩る「黒と赤の家」=本島
日本家屋の玄関を無数の花飾りが彩る「黒と赤の家」=本島


 家の一つが作品になっている。玄関に何十本もの布の花飾りがつるされ、異空間に来たようだ。タイのピナリー・サンピタックさんによる家を丸ごと使ったインスタレーション(空間芸術)「黒と赤の家」。花は、慶事にジャスミンを飾るタイの風習にならった。庭には仏塔風のオブジェ。日タイ文化の融合を図った作品だ。

 建物内はカフェにもなっている。タイ風カレーやミルクティーをいただいて島歩きの疲れを癒やそう。

 本島には現代アート13点(新作4点)が並ぶ。島の歴史や風土をアートにどう取り込むか。どの作品からもそんな意欲が伝わってくる。五十嵐靖晃さんの漁網を使った「そらあみ」、瀬戸内の複雑な潮流を表現した中村厚子さんの「海境」といった作品が楽しい。

 観光するなら塩飽勤番所跡がお薦め。江戸時代の役所で今は資料館。豊臣秀吉の書状などが見ものだ。保存会の信原清会長(73)は「瀬戸内海とともに栄えた島の歴史と町並みを知ってほしい」とPRする。

 岡山県側から本島へは児島観光港(倉敷市)から船(1日6往復)で30分と、意外なほど近い。秋会期中運航の臨時船(同)を使うと、本島から高見島(香川県多度津町)へも30分強で到着する。

島にあった空き家を丸ごと解体し、再構築した「Long time no see」=高見島
島にあった空き家を丸ごと解体し、再構築した「Long time no see」=高見島


 高見島では、日本人2人組パラノイドアンダーソンズの彫刻「Long time no see」が大迫力。「芸術は爆発だ」と言わんばかりの作品は、空き家を解体し家財道具を含めて再構成している。

 12点(新作9点)が並ぶ高見島では、レストラン全体が作品の「海のテラス」もある。「世界中の人にテーブルを囲んでもらい、交流を生み出したい」と作者の野村正人さん(69)。海外客とアート談議ができるかも。

魅力発見 秋の島旅(上)本島・高見島 歴史、風土をアートに


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(2019年10月02日 14時56分 更新)

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