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再編必要な岡山県内13病院公表 関係者困惑、冷静受け止めも

再編必要な岡山県内13病院公表 関係者困惑、冷静受け止めも
 厚生労働省は26日、全国1455の公立病院や日赤などの公的病院のうち、診療実績から再編・統合の議論が必要と判断した424の病院名を初めて公表した。これまでも検討を促してきたが進んでおらず、異例の対応に踏み切った。高齢化により膨張する医療費を抑制するのが狙い。

 来月にも、本格的に議論し来年9月までに結論を出すよう都道府県を通じて対象病院に要請する。強制力はないが、身近な病院がなくなるとの不安から地元自治体の首長や住民の反発が予想される。

 厚労省はこの日の会合で病院名を明らかにした。全体の29・1%に当たり、ベッド数が比較的少ない病院が多かった。都道府県別では、新潟(53・7%)、北海道(48・6%)、宮城(47・5%)、山口(46・7%)、岡山(43・3%)の順で割合が高かった。広島は35・1%、香川は22・2%。対象の数は北海道の54が最多、沖縄は唯一ゼロだった。

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 厚生労働省が再編・統合を検討する必要があるとして26日公表した対象病院に、岡山県内では30の公立・公的病院のうち13病院が含まれた。多くの病院では突然の名指しに困惑の声が聞かれた一方、県内五つの保健医療圏ごとにすでに議論を進めていることから、「国の動向を踏まえ、今後も協議を続けていく」と冷静な受け止めも目立った。

 岡山市立せのお病院を運営する独立行政法人・市立総合医療センターは「厚労省からの連絡がなく、どういった意図でリストアップされたのか分からない」とコメント。市医療政策推進課などによると、同病院は昨年5月、全60床を急性期治療を終えた患者の在宅復帰を支援する「地域包括ケア病床」に変更しており、「回復期の病院として必要。本当に再編・統合の基準に触れているのか」(同課)と戸惑う。

 吉備高原医療リハビリテーションセンター(吉備中央町、150床)の三浦弘二事務局長も「なぜ選ばれたのか分からない」と困惑。同センターはもともと、リハビリテーション専門病院として1987年に開設された経緯があり、「うちは普通の総合病院とは異なるのに」と言葉少なに語った。

 津山市など8市町村で構成する津山・英田保健医療圏で、唯一名前が挙がった鏡野町国民健康保険病院(88床)。へき地でも診療所を運営するなど県北の地域医療を支えてきたとして、寒竹一郎院長は「効率化だけを求めているのなら、思いは複雑だ」と打ち明ける。

 ただ、同圏域は県の地域医療構想で約3割の病床削減を求められ、同病院も3月、地域の同規模民間病院と協議会を立ち上げている。診療面での連携や機能分担などについて話し合いを重ねており、寒竹院長は「圏域全体の医療充実につながるよう、協議を進めていくしかない」とする。

 備前市は3市立病院のうち、日生病院(92床)を除く備前(90床)と吉永(50床)の2病院が対象になった。2019年度から「病院事業あり方検討会」を立ち上げ、3病院の役割などについて議論しており、「今後、国の意向を確認するとともに、(医療圏での協議の場となる)調整会議の動向も注視しながら、将来的な運営計画を策定していきたい」。

 一方、玉野市の市立玉野市民病院は21年4月に民間の玉野三井病院と経営統合し、地方独立行政法人を新設することが今月、決まったばかり。

 24年度に新病院を開院する方向で、現在は両病院合わせて309床ある病床を100床以上減らす計画。同市の西村薫三病院事業管理者は「人口減少に伴い医療需要が縮小していくことを見越した統合」とし、「玉野の中核医療機関として新病院が果たす役割は明確。地域のニーズに合った医療を提供していく」と説明する。

より具体的な議論進める―16年構想策定の岡山県

 県は、人口推計などを基に県内五つの保健医療圏で将来必要な病床数などを示した「地域医療構想」を2016年に策定した。実現のため、各圏域で病院や自治体による調整会議を行ってきたが、今回の病院名の公表を受け、より具体的な議論を進めていく考えだ。

 構想では、団塊世代全員が75歳以上となる25年に必要な病床数を、18年7月(2万3403床)から14%減の2万174床と推計。急性期や慢性期の病床の比率が高く、回復期が低いとして、病院機能のバランスの必要性も求めている。

 調整会議では、各病院が病床数削減や近隣と役割分担した診療科の設定などを示した改革プランについて議論し、合意形成を目指している。公表された13病院は今後、それぞれのプランを再検証して会議に諮り、病院縮小や機能転換などを含めた再編・統合について話し合うことになる。

 県医療推進課は「構想の大きな目的は県民が安心して医療を受けられる体制を築くこと。他県の好事例といった情報提供を通じて議論しやすい環境を整えていきたい」としている。

(2019年09月26日 22時51分 更新)

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