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日韓関係 泥沼の対立にどう歯止め

 出口の見えない対立はエスカレートする一方だ。韓国政府が、日本がとった半導体材料の輸出規制強化は不当だとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。さらに、輸出管理で優遇措置をとるグループから日本を除外した。日本が先月、韓国を輸出管理の優遇対象国から外したことへの対抗措置とみられる。

 WTOへの提訴に関して菅原一秀経済産業相はきのう、手続きの第1段階である2国間協議に応じる方針を示した。日本のとった措置がWTO協定と整合的であると説明していく、と言う。

 双方がにらみ合ってきた経緯からして、2国間解決に至るのは容易ではない。決裂した場合、攻防の舞台は通商問題の専門家からなる紛争処理小委員会(パネル)に移り、第三者の判断に委ねられる。

 そうなれば、対立は長期化の可能性が高まる。裁判の一審に当たるパネルは、原則約6カ月で判決に当たる報告書を出す。不服があれば二審の上級委員会に提訴できるが、決定に少なくとも1年以上かかるとみられる。日韓が争いを抱えた状態は当面続く。

 一方、優遇グループからの除外については、日本企業への影響は軽微で済むとの見方が強い。輸出手続きが強化される対象に、韓国のシェアが高い半導体メモリーが含まれていないためだ。

 昨年、元徴用工訴訟で日本企業に賠償が命じられたことに端を発する対立は、経済分野から、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)破棄による安全保障分野にまで波及した。

 日本製品の不買運動に便乗するかのように、韓国の複数の自治体議会は、「戦犯企業」と定義した日本企業の製品を市などが購入しないよう求める条例を成立させた。韓国でもやり過ぎだという批判があるように、過度に対立をあおる動きは好ましくない。

 一方で、日本国内でも「嫌韓」感情に基づく差別的な書き込みがネット上などで横行している。双方の社会が冷静さを保ちたい。

 対立はさまざまな分野に暗い影を落としているが、顕著なのが観光への影響である。日本を先月訪れた韓国人旅行者は前年同月より48%も減り、約31万人にとどまったという推計が発表された。

 近年、両国間の民間分野の交流は政治的に多少の波が立っても着実に広がってきた。日本の大衆文化が韓国に受け入れられ、日本でも韓流ブームが起き、かつてのような「近くて遠い国」ではなくなったはずだ。草の根の交流をここで細らせてしまうことは避けねばならない。

 来週、米国で開かれる国連総会に合わせた安倍晋三首相と文在寅(ムンジェイン)大統領の会談は見送られるようだ。一方、就任後初めてとなる茂木敏充外相と康京和(カンギョンファ)外相の会談は開催の方向という。困難な状況であればこそ、歩み寄りの糸口を双方が粘り強く探るべきだ。

(2019年09月21日 08時00分 更新)

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