山陽新聞デジタル|さんデジ

逝くときは住み慣れた家で―。そ…

 逝くときは住み慣れた家で―。そう願う人は少なくない。だが、家族の看病疲れなどが不安で、二の足を踏むことが多い▼その願いをかなえる民間の専門職を取り上げた映画「みとりし」を岡山市で見た。舞台は高梁市の設定で、ロケも行われた。趣のある街並みが重いテーマに温かみを加えている▼看取り士は本人や家族の悩みを聞き、寄り添う。映画で、独り暮らしの男性の最期に駆け付けた息子は手を取らせてもらい「父さんの子どもで良かった」と話し掛ける▼事実に基づく物語だ。家族が悔いを残すと、心に重い石を積む。だから「石を砕いて、背中を押してあげる存在だと思っています」。日本看取り士会(岡山市)を7年前に立ち上げた柴田久美子さんが、社会学者の上野千鶴子さんの著書「ケアのカリスマたち」で語っている▼なじみがまだ薄く、家族に不審がられる場面も劇中にある。だが、養成講座を受け資格を得た人は600人に上るそうだ。背景には超高齢社会を迎えて亡くなる人が増える一方、少子、非婚化で寄り添う人は少ないこともあろう▼主演の榎木孝明さんも先日、ラジオで作品をPRしていた。「『おくりびと』という映画がありましたね。あの一歩手前だと思ってもらえれば」と。先行の映画の納棺師のように看取り士も知られ、旅立ちの不安が減るといい。

(2019年09月21日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ