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お・も・て・な・し! 若者・よそ者の備北自慢②高梁・羽山第2トンネル 異世界通じる洞窟だ

岩壁にぽっかりと口を開けたトンネル。まるで異世界へ通じているよう
岩壁にぽっかりと口を開けたトンネル。まるで異世界へ通じているよう
 細い山道の先をふさぐようにそそり立つ岩壁が目の前に迫る。「ここって通れるの?」―。下部のわずかな裂け目を見た助手席の高松方子記者が不安そうな顔を向ける。期待通りの反応に、ハンドルを握りながら思わずにんまりしてしまった。

 岩を貫く長さ約30メートルの羽山第2トンネル(高梁市成羽町羽山)は、車1台がやっと通れるほどの道幅。内部は薄暗く、ごつごつした岩肌がむき出し。異世界に通じる洞窟のような雰囲気におのずと胸が高鳴る。

 県教委の報告書によると、トンネルは、赤色顔料のベンガラ生産で栄えた吹屋地区と成羽地区を結ぶ交通路として1921年に完成。一帯には石灰岩質の渓谷・羽山渓が広がり、高さ約40メートルの岩壁の上から作業員をつり下げ、のみを使って手作業で掘り進めた。2年がかりの難工事だったという。

 初めて訪れたのは2年前の秋。それまでコンクリート製の整然としたトンネルしか見たことがなく、押しつぶされそうな威圧感に背筋が寒くなった。常々、当時の衝撃を誰かと共有したいと思っていたので、この企画を利用させてもらった。

 北側の入り口近くには、全長100メートルの鍾乳洞「穴小屋」の洞口もあり、高さ約1メートルの横穴から冷気が漂ってくる。怖がるかと思いきや、高松記者は真っ暗な穴に向かって無邪気に山びこ遊びを楽しんでいた…。

 100年近く過ぎたいまも現役の手掘りのトンネル。岩を貫いた人間の力や非日常を体感しに、ぜひ足を運んでみては―。

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 山陽新聞高梁支局・鈴木省吾、新見支局・高松方子の両記者は同期入社、25歳の若手コンビ。そろって備北地域の各地を巡り、ときに県外出身のよそ者目線も交えながら、互いの「お薦め」を紹介します。

 メモ トンネルはJR備中高梁駅から車で約30分。成羽川の支流・島木川沿いを走る県道宇治下原線にある。道幅は3メートルで、車両の高さ制限は2・5メートル。「穴小屋」に照明はなく、入洞は懐中電灯やヘルメットなどの装備が必要。岩壁はロッククライミングの名所としても知られ、県内外から愛好家が集まる。

(2019年09月20日 19時01分 更新)

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