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敬老の日 地域のつながり強めたい

 きょうは敬老の日である。年齢を重ね、安心して暮らしていくために何が必要なのか。あらためて考えたい。

 厚生労働省が毎年この時期に発表する全国の100歳以上の高齢者数が初めて7万人を突破した。調査を始めた56年前はわずか153人だった。「人生100年時代」が現実のものになりつつあると言えるだろう。

 政府の高齢社会白書によると、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は2018年に28・1%。先進国の中で最も高い水準である。急務になっているのが、年金や医療といった社会保障制度を持続可能なものにしていくことだ。少子化で現役世代が減り、これまで制度を支えてきた団塊世代も「支えられる側」に回る。22年からは団塊世代が75歳以上になり始める。

 政府は社会保障改革の司令塔となる新たな検討会議の設置を決めた。安倍晋三首相をトップに、閣僚や政府の審議会委員などを務める有識者らが社会保障制度のあり方を検討し、来年夏までに最終報告を取りまとめるという。

 70代までの就業機会の確保や、年金受給年齢の選択肢の拡大などが論点に挙がっている。元気なシニアが増えたとはいえ、健康面では個人差が大きいことにも留意して議論を進めてほしい。年金や医療費の抑制といった「痛み」を伴う議論も避けられまい。議論を先送りしていては国民の不安は増す一方だ。正面から課題に向き合う姿勢を政府には求めたい。

 高齢化の進展とともに、見逃せないのは単身世帯の増加である。非婚化が進み、高齢になって伴侶と死別する人も増えていく。40年には日本の全世帯のうち約4割が単身世帯になるとみられている。既に1人暮らしの高齢者は地域に多い。公的サービスだけでは生活全般を支え切れていないのが現状だろう。

 足もとの地域をみれば、住民によるさまざまな取り組みが始まっている。

 近年、住民有志によって岡山県内外にできている「子ども食堂」には、1人暮らしの高齢者が参加するケースが増えている。“地域の食堂”と位置づけることで子どもたちも参加しやすくなり、高齢者にとっても大勢で囲む食事は楽しみになっているという。

 高齢者同士の支え合い活動も広がっている。岡山市北区の三門小学校区では5年前、住民有志がボランティア組織「地域のみんなでつながり隊」を発足させた。ごみ出し、買い物の付き添い、照明の電球交換…。70歳以上の夫婦や1人暮らしの高齢者の「ちょっとした困り事」の依頼に無償で応じている。隊員も60~70代の高齢者で、自分が元気で動ける間は「支える側」に回ろうと活動している。

 「困ったときはお互いさま」。薄れつつある地域のつながりを取り戻すことは、何より高齢者の安心につながるだろう。

(2019年09月16日 08時00分 更新)

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