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おとといの中秋の名月を楽しんだ…

 おとといの中秋の名月を楽しんだ人もおられよう。月は古来、人々を魅了してきた。「人を月に送り、無事に帰す」。ケネディ米大統領は1961年の演説でこう宣言した。人類初の月面着陸という偉業が8年後に成し遂げられた▼演説にちなんだ言葉が「ムーンショット」だ。達成は非常に難しいが、実現すれば大きな成果がもたらされる構想を指す。その言葉を冠した新事業「ムーンショット型研究開発制度」を政府が今年始めた。困難だが壮大な研究に5年で1100億円を投じる▼農業や建設工事を完全無人化する。長距離の宇宙旅行も可能にする人工冬眠技術を確立する。ノーベル賞級の発見を自動で行う人工知能(AI)を開発する…。今夏に公表された25のテーマ案が興味深い▼案は公募した意見などに基づきSF作家らが選定した。国内外の科学者に実現可能性を聞き、年内には実行に移すテーマが決まる▼ことわざに「月の影取る猿(ましら)」がある。井戸に映った月を取ろうと1匹の猿が木の枝をつかみ、尻尾を次の猿がつかみ…と何匹も連なった末、枝が折れて皆溺れた。身の程知らずのことを望んで身を滅ぼすたとえだ▼巨額の支援制度に対しては、荒唐無稽なテーマへの投資だとの批判もある。「月」を目指した末の無駄遣いに終わらぬよう、しっかりとした目利きが欠かせない。

(2019年09月15日 08時00分 更新)

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