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多くの気象エッセーを残した倉嶋…

 多くの気象エッセーを残した倉嶋厚さんによると、終戦から1960年代半ばの統計では日本の風水害の死者の6割、被害額の8割は台風がもたらしたそうだ。59年の超大型の伊勢湾台風では5千人を超える死者・行方不明者が出た▼その昔に枕草子は、台風を称す「野分(のわき)」の次の日を「あはれにをかしけれ」とした。雅(みやび)で緊迫感がないが、江戸時代の文献になると「江戸開けしより以来、聞きも及ばぬ大水、たびたびに及べり。移りかはる世のならひにこそ」と人災観が現れるという▼なるほど、文明の発展や人口増、都市の開発などにより、台風の被害も変遷する。水防の備えが堅くなった現代は、生活直撃の形で市民が危険にさらされている▼9日に千葉市付近に上陸した「非常に強い」台風15号は、送電用鉄塔や電柱をなぎ倒した。中心付近の最大風速は40メートル。今も多くの地域で停電が続いている▼エアコン、冷蔵庫、そして携帯電話。軒並み使えず、コンビニなどが閉じ、断水も起きた。熱中症も心配だ。首都からそう遠くない地域で人々が助けを求めている▼だからか、ネット上には「内閣改造より被災者対策を」との厳しい声も。東京電力の見通しの甘さも責められている。地球温暖化で台風被害が激甚化する中、コストや方法など停電対策も容易ではないが、課題を突き詰めたい。

(2019年09月14日 08時00分 更新)

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