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安倍改造内閣 難題山積に危機感を持て

 歴代最長政権を見据え、内閣を支えてきた実力者と側近の重用で「安倍政治」の総仕上げを図る。安定を重視した「守りの布陣」から見えるのはそんな思惑だろうか。

 安倍晋三首相が第4次再改造内閣を発足させた。2012年末の第2次内閣スタートから任に当たる麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官が留任し、「ポスト安倍」に名が挙がる茂木敏充経済再生相を外相に、河野太郎外相を防衛相に横滑りさせた。

 閣僚19人のうち13人が初入閣なのは一見フレッシュに見えるが、萩生田光一幹事長代行を文部科学相に登用するなど首相側近や、首相と思想信条が近い議員を数多く入閣させたのが特徴である。内閣の骨格は変えず、信頼の厚い加藤勝信党総務会長も厚生労働相で再登板させた。

 知名度の高い小泉進次郎氏の環境相への抜てきを除けば、改造内閣としては新味に乏しい。内外の政治課題に取り組む上で、内向きの「お友達内閣」にならずに成果を上げられるかが問われる。

 党役員人事では、交代論があったものの党内への影響力が強い二階俊博幹事長と、安倍後継を狙う岸田文雄政調会長を再任した。内閣と党のバランスを重視し、悲願の憲法改正などでの手腕も期待してのことだろう。

 7年目に入った安倍政権は今年11月には通算在職日数が戦前の桂太郎を抜いて歴代1位となる。総裁任期は21年9月まで残っており、内閣支持率も安定を維持する異例の長期政権だ。

 ただ一方で、経済政策のアベノミクスは手詰まり感を見せ、地方創生や1億総活躍、働き方改革といった看板政策が十分に推進されてきたとは言い難い。東京一極集中是正が一向に進まない現状には地方創生の熱意さえ疑う。

 長期政権から来る慢心やおごり、丁寧さを欠く国会運営も目立っている。森友・加計学園問題では官僚の不祥事や忖度(そんたく)の疑いが、政治の信頼を大きく揺るがした。

 それでも国民の間で政権への「飽き」が広がらないのは、政権交代の受け皿となり得る野党の弱体化などに助けられているからだ。姿勢を謙虚に反省すべきである。発信力のある小泉氏のサプライズ起用からは政権浮揚につなげたい狙いが透けて見えるが、実力は未知数だ。

 きのうの会見で安倍首相は「新体制の下で、憲法改正への議論を力強く進めていく。自民党が憲法審査会でリーダーシップを発揮すべきだ」と改憲に改めて意欲をみせた。

 だが難題は山積する。持続可能な社会保障や財政再建、人口減少対策などを先送りせずにどう道筋をつけるのか。悪化の一途をたどる日韓関係をどうするか。自身の悲願に前のめりにならずに危機感を持って取り組んでほしい。

 政権の総仕上げに入るからこそ、「国民の声を聞く」原点に戻ることが大切だ。

(2019年09月12日 08時00分 更新)

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