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介護保険見直し 2割負担は慎重な検討を

 3年に1度の介護保険制度の見直しに向けた議論が厚生労働省で始まった。年末までにまとめて、来年の通常国会に法改正案を提出し、2021年度から実施の見通しだ。

 介護費用は高齢化で膨らんでいる。本年度は11・7兆円と、制度が始まった00年度の3倍になった。団塊の世代が全て75歳以上になる25年度は15・3兆円、40年度には25・8兆円と見込まれている。

 利用者の自己負担を除く部分を賄う40歳以上の保険料と国、自治体の公費負担も増えている。65歳以上が払う平均保険料は月5800円余で、制度創設時の2倍となった。

 財務省は費用の抑制を求めており、見直しでは利用者の自己負担増が焦点となっている。だが、サービスの利用を控えることにつながりかねず、重症化の懸念は拭えない。利用者の目線に立った議論が求められる。

 見直しの論点として、厚労相の諮問機関である社会保障審議会の部会で示されたのは、ケアプラン(介護計画)作成の有料化や自己負担2割の対象者拡大などである。

 このうちケアプラン作成はサービスを受けるのに欠かせず、制度を利用しやすくするため、利用者負担はない。作成は本人や家族でも可能だが、大半は介護事業所などのケアマネジャーに依頼し、その報酬は要介護度が中重度の3~5で月約1万4千円だ。1割負担になると、利用者は月1400円程度を払うことになる。

 当初1割だったケアプランを除くサービス利用の自己負担割合は、15年8月から年収280万円以上(単身で年金収入だけの場合)の人は2割負担、さらに昨年8月には現役並みに所得が高い一部の人が3割負担となった。

 2割負担の拡大は健康保険組合連合会なども検討を求めている。現状では1割負担が利用者の9割を占めており、「認知症の人と家族の会」(京都市)は「生活が立ちゆかなくなる」と反発している。

 厚労省によると、要介護の受給者1人当たりの費用額は4月審査分で平均19万4600円である。要介護度などで大きく異なり、上限額を超えた負担を払い戻す「高額介護サービス費」といった制度もあるものの、1割から2割負担になった場合の影響は決して小さくない。慎重な検討が必要だ。特に低所得の人に対する配慮は欠かせない。

 見直しでは要介護1、2の人のホームヘルプとデイサービスを市区町村の事業に移すかどうかも論点になっている。最も軽度な要支援1、2を移したのに続くものだ。

 ボランティアらにもサービスを担ってもらい費用削減を目指すが、十分な支援が受けられるか懸念は強い。介護保険の対象を中重度に絞りたい国の意図も透けて見える。

 ただ、課題は財政面だけではない。例えば、介護人材の確保も喫緊の問題だ。幅広く議論してもらいたい。

(2019年09月11日 08時00分 更新)

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