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高齢者「免許返納しない」79% 岡山市で本社100人アンケート

高齢者「免許返納しない」79% 岡山市で本社100人アンケート
高齢者「免許返納しない」79% 岡山市で本社100人アンケート
東京・池袋で4月、高齢者運転の乗用車が暴走し母子がはねられて死亡した事故の現場(上)と日本自動車連盟岡山支部による高齢者向け安全運転教室=5月、岡山市=のコラージュ
東京・池袋で4月、高齢者運転の乗用車が暴走し母子がはねられて死亡した事故の現場(上)と日本自動車連盟岡山支部による高齢者向け安全運転教室=5月、岡山市=のコラージュ
 東京・池袋で87歳の男性運転の乗用車が暴走し、母子2人が死亡するなど高齢ドライバーによる重大交通事故が全国で相次ぐ中、山陽新聞社は今夏、岡山市で男女100人に高齢者の運転や免許返納に関するアンケートを実施した。免許を保有する65歳以上の79・0%が「返納しない」と回答。うち42・9%は「運転に不安がある」としており、技能の衰えを感じつつも生活の事情で運転を続ける人が多い実態が改めて浮かんだ。

 岡山県警によると、65歳以上の運転者が主な原因となった死亡事故は今年1~7月で11件(昨年同期比4件増)。免許を自主返納する65歳以上の人は県内で増加傾向にあり、6月1075人、7月937人と、1998年に返納制度が始まって以降、それぞれ月別の過去最多と3番目の多さだったとはいえ、課題の根は深いのが現状だ。


「安全」と「必要」の葛藤


 山陽新聞社が行った高齢者の運転や免許返納に関する100人アンケートの結果は、安全面での不安と、生活上の必要性との間で揺れる高齢ドライバーが岡山県内でも少なくない現実を示した。専門家は、高齢者が自らの技能を客観的に判断できる機会が不可欠と指摘する。

 アンケートは6月12日~7月2日、岡山市の街頭で、53~89歳の男女に面談で実施。運転時の不安や返納の意思などを聞き取った。

 「返納しない」と答えた人(65歳以上の免許保有者の79・0%)がそれぞれの年代で占める割合は、60代91・9%、70代74・1%、80代70・0%。返納しない理由(自由回答)は「公共交通機関だけでは不便」「妻の通院のため必要」など移動手段として車が欠かせない事情が目立った。運転への自信を挙げる人もいた。

 返納の意思がない65歳以上の高齢者のうち、運転に不安があるとした人が理由に挙げたのは「前の車との距離感が分からない」「アクセルとブレーキを踏み間違える」「赤信号を見落とす」などだった。

 高齢ドライバーを巡っては、2017年の改正道交法施行で75歳以上の認知機能検査が強化され、岡山県警によると、18年は県内で91人が免許取り消し、3人が停止の行政処分を受けた。県警は免許を自主返納した65歳以上の人に公共交通機関の料金割引などの特典が受けられる「おかやま愛カード」を交付。18年は7654人が自主返納した。

 アンケートで「返納した」とした人は65歳以上の回答者の25・3%。「する」と答えた人も含め、その理由は「高齢ドライバーの事故をニュースで見て不安になった」「事故を起こすと家族に迷惑が掛かる」など。

 高齢者の交通問題に詳しい川崎医療福祉大の金光義弘名誉教授は「反射神経の衰えなど自分の運転の危険性に気づけるかが事故防止にとって重要で、第三者に運転を評価してもらうことも有効。自己評価とのギャップが大きければ返納を考えるべきだろう。運転を続ける人への安全教育の充実も必要だ」としている。

(2019年08月27日 07時23分 更新)

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