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観光客が増えて生活環境が悪化す…

 観光客が増えて生活環境が悪化する「観光公害」という言葉をまだ聞き慣れなかった30年近く前。「OK牧場の決闘」の舞台、米アリゾナ州のトゥムストーンという町が西部劇ファンの観光客に悩まされた話がある▼頭にテンガロンハット、腰に本物の銃。英雄気取りの男たちが闊歩(かっぽ)し、駅馬車ツアー中の観光客に銃を振りかざす騒ぎも起きたという▼今、さすがにそんな物騒なトラブルはあるまいが、内外の有名観光地は「オーバーツーリズム」と呼ばれる観光公害に悩む。今月上旬、ローマの名所・スペイン広場では階段に座ったり寝そべったりする客に、笛を鳴らして警告する何とも無粋な取り締まりが始まった▼映画「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンがジェラートを食べた階段である。当然まねる客が多く、7年前に飲食を禁じたが、その後も大勢が階段に腰掛け、ごみの放置も絶えないため規制を強めた▼日本でも、有名観光地はのんびりと観光を楽しむどころではない混雑ぶりだ。京都市は、少し離れた町並みや郊外のスポットへ客を分散させる方法を検討中という▼まちの魅力を知ってもらう機会は大事にしたい。とはいえ、過度な混雑や住民との摩擦があれば、魅力や満足感は台無しになる。生活と観光が共生できる道を探ることも「観光立国」を目指す日本の宿題だ。

(2019年08月22日 08時00分 更新)

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