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医師より棋士に―。京都大医学部…

 医師より棋士に―。京都大医学部を卒業し医師国家試験にも合格した後の異例の選択が話題となってから18年がたつ。囲碁の坂井秀至八段(46)が医師の道に戻るそうだ。所属する関西棋院が来月からの休場を発表した▼プロ3年目に本社主催の関西棋院第一位決定戦で初優勝した。取材した際にプロ入りを望んだ理由を尋ねると「このままでは悔いが残ると思った」という。アマチュアでは世界選手権を制して頂点に立った。「ギリギリの勝負はプロにならない限りもう望めなかった」と▼10年目に獲得した碁聖は同棋院の棋士として29年ぶりとなる七大タイトルだった。長く押されていた日本棋院勢に対して盛り返すきっかけとなった▼だが、近年は納得できる碁が打てず、タイトルを目指すことが難しくなったとコメントしている。年齢による衰えは避けられない。指導などに力を入れることもできたろうが、また別の道に挑むことを選んだ▼多様な生き方が望める「人生100年時代」である。政府も先の成長戦略で、年齢を重ねてからの再出発に向けた再就職や社会貢献などの環境を整えている。不惑をとうに過ぎて一からキャリアを重ねていく坂井八段の挑戦も、時代を象徴する決断だ▼棋士としては終盤の寄せに定評があった。ギリギリの場面で見せる冷静さは診療でも頼りにされよう。

(2019年08月21日 08時00分 更新)

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