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老いるインフラ 修繕の遅れに不安拭えず

 橋やトンネルなど身近なインフラの老朽化と、その対応の遅れが浮き彫りとなった。国土交通省や地方自治体が2014~18年度に行った点検の結果である。

 全国の橋約6万9千、トンネル約4400、歩道橋などの道路付属物約6千の計8万カ所近くで「5年以内の修繕が必要」とされた。一方、修繕の着手率は18年度末時点で橋22%、トンネル36%、付属物24%にとどまっていた。

 高度成長期に集中して整えられ、老いるインフラへの対応は待ったなしだ。例えば、建設から50年以上となる全国の橋は18年の25%から28年には50%に増える。だが、自治体は社会保障費が膨らむなどして財政事情が厳しい。住民の要望が強い新設に比べると、修繕は後回しになりがちで、不安は拭えない。

 点検は12年12月、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落し、車3台が下敷きになるなどして9人が死亡した事故を受けたものだ。5年に1度の実施が道路管理者に義務付けられた。14~18年度が1巡目に当たる。

 岡山県内で5年以内の修繕が必要とされたのは橋2249、トンネル124、道路付属物162カ所だった。悲惨な事故を繰り返さないよう迅速に対応してもらいたい。

 このうち、橋は約3万3千カ所と都道府県別で最多の点検箇所数となり、早急な措置を要する施設数は北海道や新潟県などに次いで7番目に多かった。

 施設を長持ちさせる「長寿命化」が大きな課題となる。そのためには、人と同様、普段から健康管理に努め、早めに対応する「予防保全」が大切だと専門家は指摘する。

 とはいえ、自治体職員は行政改革などで減少傾向が続く。専門知識のある技術系職員も足りず、不在の市町村は全国で約4分の1を占める。

 国交省のアンケートで、19年度以降の点検について業者への発注、進行状況の把握など職員の負担が大きいと訴えた自治体は6割を超えた。人材の確保と育成を図らねばならない。同時に、市民の目を借りることも必要だろう。異常があれば管理者に連絡しやすい態勢を整えてほしい。

 点検の効率化も急がれる。国交省は小型無人機ドローンで損傷状況を撮影したり、赤外線を当ててコンクリートのひび割れを確認したりする技術の開発を進めている。

 財務省も人工知能(AI)などの先端技術も活用すれば維持管理費を一段と抑えられるとし、利用者の減った橋の撤去など集約化で管理コストを下げることも提案しているという。

 都市機能を中心部に集めるコンパクトな街づくりの動きが活発だ。インフラなどに集中投資できる半面、周辺部が落ち込むとの懸念も根強い。まして、既設のインフラの集約は影響が大きい。利用者の合意は欠かせず、丁寧な説明と情報公開が求められる。

(2019年08月19日 08時00分 更新)

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