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高校総体の経費難 若い力の“晴れ舞台”守れ

 東京五輪の影響で、異例の全国分散開催となる2020年夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)が開催経費不足に直面している。競技によっては実施が危ぶまれるとされ、予算確保が大きな課題となってきた。

 インターハイは1963年に始まり、半世紀以上、高校生アスリートの“晴れ舞台”として競技力の向上を支えている。来年は北関東4県(茨城、栃木、群馬、埼玉)を中心に開かれる予定だった。

 だが、東京五輪・パラリンピックと開催時期が重なることで、競技会場や宿泊施設の確保が困難となった。このため全国高等学校体育連盟(全国高体連)は期間を一部の競技を除いて両大会の間の8月10~24日と定め、インターハイ史上初となる21府県での分散開催に踏み切った。まさに“苦肉の策”と言えよう。

 急なことだけに開催地の調整は難航し、今年4月になってようやく30競技全てについて決まった。全国高体連は「予定より約2年半遅れた」と厳しさを語る。岡山市は剣道を引き受けた。2016年夏、岡山県を主会場に中国ブロックで開催されたインターハイでの実績が高く評価されての依頼だった。尾道市はソフトボール、坂出市ではカヌーの競技が行われる。

 重くのしかかるのが経費の問題だ。全国高体連によるとインターハイの開催には、開会式を除いて総額約12億円かかるとされる。

 その7~8割を開催地の都道府県や市町村が計画的に積み立てているが、来年は急な要請のため負担が困難な開催自治体が多いという。全国高体連自身が経費を確保する必要に迫られた。

 予算確保に向けて16年には特別基金を設けたが、7億円の目標額に対して先月末までに集まったのは約5千万円にとどまる。全国高体連は、事態を打開するため初めてインターネット上で寄付を募るクラウドファンディングに乗り出した。4千万円を目標に10月23日まで募る。関係者は「一人でも多く実情を知ってほしい」と期待を寄せる。

 大会のスリム化も図り、全国から集めていた審判を開催地の近くで手当てして節約したり、予選リーグを省いて最初から決勝トーナメントにして日程を短縮したりもするという。

 五輪という華やかな国家プロジェクトの一方で、高校生のスポーツの祭典が経費不足から窮地に立つ状況は寂しく複雑な心境にさせられる。13年の東京五輪開催決定以降、もっと打つ手はなかったのだろうか。

 一部でも競技が中止されれば、日々励んできた選手たちの目標を奪ってしまうことになる。支援の輪を大きく広げ、危機を乗り越えてほしい。そのためにも全国高体連は大会の意義はもちろん置かれた現状や見通し、対策などを丁寧に示し、広く理解を得ることが必要だ。

(2019年08月18日 08時00分 更新)

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