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台風と計画運休 安全優先で先手の行動を

 大型の台風10号が西日本を縦断した。強風域が広く、発達した雲が列島各地に大雨を降らせた。台風が上陸した広島県や岡山、香川県では厳戒態勢で早めの避難などを呼び掛けた。心配した大きな土砂災害や河川の氾濫などはなかったが、これからも台風シーズンが続く。「命を守る」心構えを高めたい。

 JR西日本などJR各社はお盆のUターンラッシュのピークに当たる15日、山陽新幹線の新大阪―小倉間を終日運休するなど「計画運休」に踏み切った。岡山、広島の在来線や瀬戸大橋線も運転を見合わせた。帰省や旅行中に台風に遭遇し、難渋した人は多かったろう。

 しかし、地球温暖化による気候変動で災害が激甚化する傾向の中、安全優先の判断はますます重要になっている。運転を続けて線路や列車が被害を受けたり、列車が立ち往生したりすれば、結果として大きな混乱につながり、乗客の安全も守れない。

 特に今回は需要のピークに重なったため、JR各社は判断が難しかったと思われる。台風の進路や風雨の予想が外れて「空振り」に終われば、乗客に迷惑をかけるだけでなく、鉄道会社自身も経済的な損失をこうむる。それらを考慮した上での決定は理解できるものだ。

 周知の点では過去の教訓が生かされた。JR西日本は11日から運行情報を伝える公式ツイッターで運休が見込まれることを告げ、実施2日前の13日午前には運休の可能性があると発表した。早めに情報が分かれば、利用者や事業者も余裕を持って予定を立てやすくなる。

 昨年9月の台風接近時にJR東日本が首都圏で大規模な計画運休をした際には、正午過ぎになって午後8時以降の運転とりやめを発表し、乗客の混乱を招いた。そのため、国土交通省では7月に示した指針とモデルケースで、48時間前に可能性を公表し、24時間前には詳細な情報提供をするよう求めている。

 ただ、計画運休は駅周辺の商業施設や通勤・通学者などへの影響が大きいだけに、定着させるには気象予報の精度や周知の在り方の改善が欠かせない。企業などの側も従業員の安全を重視し、出社に柔軟な対応をとることが望ましいだろう。

 日本語に不案内な訪日外国人の増加を踏まえ、問い合わせや相談に即応できる態勢も、観光事業者などと連携して整えることが大切だ。

 台風10号は一時「超大型」にまで強風域が広がり、半径1100キロに達した。進路から離れた奈良県でも降り始めからの総雨量が800ミリを超える地域があった。

 将来はより猛烈な「スーパー台風」が来襲しやすくなるとの予想もある。災害から身を守るにはどう行動すればよいのか、一人一人はもちろんのこと、社会全体が先手先手の意識で取り組みたい。

(2019年08月17日 08時00分 更新)

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