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世に送り出した曲は数知れず。こ…

 世に送り出した曲は数知れず。この季節であれば高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」が知られるだろう。昭和を代表する作曲家、古関裕而さんは今月で生誕110年、没後30年を迎える▼阪神の球団歌「六甲おろし」や巨人の「闘魂こめて」、前回東京五輪の入場行進曲「オリンピック・マーチ」…。意外なところでは怪獣映画「モスラ」の歌も古関さんが生み出した旋律だ▼福島市で生まれた。小学生の時には同級生が作った詩に曲をつけていたというから天賦の才だろう。楽器は使わず、机に向かって黙々と楽譜を書いたという逸話にも驚かされる▼来春スタートのNHK連続テレビ小説「エール」は古関さんが主人公のモデルになる。音楽を通して戦争中の世相も描かれるのだろう。レコード会社の専属作曲家だった古関さんは多くの軍歌を手がけている。「勝ってくるぞと勇ましく」で始まる「露営の歌」は代表作だ。多くの兵士が口ずさみ、戦地へ向かった▼戦後、古関さんは批判にさらされるが、多くは語らなかったという。ただ、戦後に作った「長崎の鐘」に込めた思いを自伝に記している。「単に長崎だけではなく、この戦災の受難者全体に通じる歌」「打ちひしがれた人々のために再起を願った」と▼歌が戦争のために利用された時代があった。もう二度と繰り返したくない。

(2019年08月16日 08時00分 更新)

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