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真備へツバメ再び、復興の希望に 親子が巣を調査、減少も帰還確認

「もっと戻ったらいいね」と話しながら、豪雨前後のツバメの巣の分布を地図にまとめた井川さん親子
「もっと戻ったらいいね」と話しながら、豪雨前後のツバメの巣の分布を地図にまとめた井川さん親子
 昨夏の西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町川辺地区で、ツバメの巣の数を調べている親子がいる。井川緑さん(53)と長男の川辺小5年快晴君(10)。浸水や被災家屋の解体で多くが失われたが、今シーズンは数を減らしながらも“帰還”した姿を確認。人が往来する建物に営巣する習性のため「ツバメが戻るのは人が戻った証し」と、渡り鳥に復興への希望を重ねている。

 親子とツバメの出合いは2017年の春。1羽が自宅玄関に巣を作り始めた。巣の材料やひなの餌集めに毎朝出掛け、夕方に“帰宅”する姿に「わが家の一員みたい」と愛情が芽生えた。快晴君は夏休みの自由研究としても毎日観察した。

 昨年も再び訪れ、卵を温めていたところに豪雨が発生。巣は残ったが、卵は流されていた。巣もその後、家のリフォームで仕方なく撤去した。川辺地区では大半の家屋が半壊以上の被害を受け、2人は「多くの巣がなくなったんだろうなと思った」と振り返る。

 「ツバメは川辺に戻って来てくれるだろうか」。今シーズンになり、巣の数を調べてみることにした。営巣が始まる4月から、地区内の民家や倉庫など約1400の建物を見て回り、子育てが行われていた巣の数を調査。昨年の状況については、住民約40人に聞き込みをして情報を集めた。

 その結果、昨年は少なくとも24カ所にあった巣が、今年は9カ所と半数以下に減っていた。昨年はもっと多かった可能性が高く、緑さんは「人も家も減っているから当たり前かな」と寂しげ。自由研究として調査結果をまとめている快晴君も「予想以上に減っていた」と驚く。

 ただ、地区住民は避難先などから徐々に戻りつつあり、2人は「ツバメが巣を作りたくなるような、人が大勢いて活気ある川辺に戻り、晴れた空を災害前以上にたくさん飛び交う風景を見たい」と願っている。

(2019年08月10日 23時32分 更新)

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