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難病に負けずピアノ弾く石井さん 31日に倉敷でジャズライブ

音をかみしめるように演奏する石井さん(中央)=7月11日
音をかみしめるように演奏する石井さん(中央)=7月11日
 わが国のジャズシーンで活躍してきた浅口市ゆかりのピアニスト石井彰さん(55)=神奈川県相模原市=が31日、倉敷市中央の市芸文館でライブを開く。筋力が低下していく難病・球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を発症し、体力が衰えていく中で「自分にしかできない表現を突き詰めたい」と前を向く。

 石井さんは、大阪音楽大在学中にジャズピアノを始め、世界的トランペット奏者の日野皓正さん(76)に認められて「日野皓正クインテット」の一員として世界的に活躍。リーダーを務める「石井彰トリオ」でも活動し、父の出身地という縁で2003年から毎年、浅口市の酒蔵でも演奏会を開いてきた。

 SBMAが判明したのは2016年、風邪で受診した内科での血液検査がきっかけだった。徐々に力が衰え、指を動かしにくくなってきたことなどから今年2月、約20年活動した日野皓正クインテットを脱退した。

 「日野さんとの演奏は常に新しい体験があり、辞めるのは苦渋の決断だった」と石井さんは打ち明ける。しかし、ジャズへの情熱は消えず、回数を減らしながらも全国で演奏を続けている。「自分を大切にゆっくり頑張ればいい。困ったことがあれば何でも俺に言え」。脱退を告げた時、電話口で泣いていた日野さんの言葉も支えになっているという。

 7月11日に倉敷市美観地区のジャズ喫茶で行ったライブでは、約30人のファンを前に、輪廻(りんね)転生をテーマにした自作曲など10曲を披露。常連客の会社員男性(43)=同市=は「複雑な感情が目まぐるしく心に流れ込んでくる。魂がこもった演奏だった」と感激していた。

 石井さんは「演奏に手本がなく、個性を生かせるのがジャズの良さ。1本でも指が動く限り、ベストを尽くしたい」と力を込める。

 31日のライブは「症状が進行する前に、多くの人に演奏を聴いてほしい」と、友人の土井美智子さん=同市=が企画。石井さんのバンドメンバーらがベースとドラムで共演する。午後7時開演。前売り3500円、当日4千円。

(2019年08月09日 22時55分 更新)

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