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作家のC・W・ニコルさんは英国…

 作家のC・W・ニコルさんは英国ウェールズにいた子どもの頃、体が弱く泣いてばかりだった。一緒に暮らす祖母からある日、「強くなりたいのなら、近くの森へ毎日行って木を抱きしめ、登りなさい」と教えられた▼森に通っているうち、怖かった木登りは猿のようにうまくなった。森を駆け巡り、どんどん探検できるようにもなったと、共著の「けふはここ、あすはどこ、あさつては」に記す。森での遊びがいつしか心身を強くしたのだろう▼自然体験が豊富な子どもほど、自律性や協調性が身についている―。国立青少年教育振興機構が今年発行した調査報告書の内容だ。全国の小4~6、中2、高2の計約1万8千人に自然体験や行動習慣を聞き、分析した▼「海や川で泳いだ」「夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見た」などの体験が多い子ほど、自分でできることは自分でする、相手の立場になって考えるといった行動が多い傾向がみられた。自然に親しむことは心の成長に好ましく作用するようだ▼木に登ったニコルさん。枝の間から頭を出し、流れていく雲を見上げた。「それは、魔法で木が宙を動いているような感覚でした」▼風のにおい、木の手触り、野鳥のさえずり…。リアルな感覚にあふれた自然を存分に楽しめる夏休み。ゲームやスマホざんまいでは、もったいない。

(2019年07月20日 08時00分 更新)

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