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被災の「わが家」CGで復元 東京の阿部さん無償提供

東日本大震災の津波で自宅を失った宮城県の被災者に提供した「想い出パース」(阿部雅治さん提供)
東日本大震災の津波で自宅を失った宮城県の被災者に提供した「想い出パース」(阿部雅治さん提供)
阿部雅治さん
阿部雅治さん
 西日本豪雨の被災家屋をコンピューターグラフィックス(CG)で復元し、イラストで無償提供するサービスを東京都武蔵野市、建築イラストレーター阿部雅治さん(69)がスタートさせた。住み慣れた「わが家」の解体を余儀なくされる被災者の心の支えに―と、長年培ってきた技術を生かせるボランティア活動として立ち上がった。

 復元図は家屋の写真や図面を基に作製する。これらを被災で失った場合は間取りなどの記憶を聞き取って図面化するほか、衛星写真を閲覧できる米グーグルの「グーグルアース」といったインターネット上の情報も活用する。A3判にカラー印刷して送り届ける。

 阿部さんは建物を立体的に表現する完成予想図(パース図)を作る仕事を1970年から半世紀にわたって手掛けてきた。サービスは東日本大震災を機に発案し「想(おも)い出パース」と名付けて2012年に始めた。地元の地方紙などで紹介されて話題を呼び、16年の熊本地震の被災地を含め、これまでに計30件の依頼に応えたという。

 「イラスト制作に向け、東北や熊本の方々とメールや電話でやりとりをするうち、皆さんの人柄や表情が見えてくるような気持ちになる」と阿部さん。完成までには1件当たり平均1カ月を要するが、提供先からは〈一生の宝にさせていただきます〉といったお礼の手紙が届き、ライフワークにしたいとの思いを強くしている。

 全半壊した家屋を自治体が所有者負担なしで解体撤去する「公費解体」の申請受付件数は、甚大な浸水被害を受けた倉敷市真備町地区を中心に岡山県内で1662件(6月末現在)に達する。阿部さんは「『わが家』は住む人たちにとって心のよりどころ。少しでも被災から立ち直るためのお役に立ちたい」と話す。

 提供申し込みは阿部さんの事務所「アベ・レンダリング」(0422―77―8522、メールabe@rendering.sakura.ne.jp)。

(2019年07月18日 23時02分 更新)

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