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固定残業代の支払いが割増賃金に対する支払いと認められる場合

固定残業代の支払いが割増賃金に対する支払いと認められる場合
 「職務手当」「業務手当」という名目で、通常の賃金とは別に従業員へ固定残業代の支払いをしている企業は少なくありません。

「固定残業代」は厳格に解釈
何時間分か不明の場合は否定


 このようなケースで残業代(割増賃金)が請求された場合、企業側としては、この「職務手当」「業務手当」は残業代(割増賃金)として支払っているのであるから、残業代から控除してほしいと主張したいでしょう。

 しかしながら、これまでの裁判例ではこのような「固定残業代」については「明確性区分」(通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金との区別が明確になっているか)と「金額の適格性」(割増賃金に当たる部分が法律に違反していないか)の観点から厳格に解していました。

 単に「職務手当」「業務手当」の名目で固定残業代を月5万円支払っていても、それは一体何時間分の時間外労働として計算しているのか不明確であるとして、残業代としての支払いを否定する判例が大半でした。

何時間分かの明記なくても
残業代として認めた判例も


 固定残業代は「月額5万円、10時間分の残業代に相当」などの記載があり、それが法定の割増賃金に照らして相当である場合に、残業代の支払いとして認めていました。

 ところが最高裁判所は昨年、何時間分の残業代か明記していなくても「雇用契約書、採用条件確認書、賃金規定」において、「固定残業代が時間外労働に対する対価として支払われる旨の記載があり」「会社と従業員との間の確認書にも、固定残業代が時間外労働に対する対価として支払われる旨の記載があること」「実際に支払われていた固定残業代が労働実態に照らすと28時間分の時間外労働に対する割増賃金に相当すること」などと判断して、固定残業代として認めました。(最高裁第一小法廷判決平成30年7月19日)

 本件は、契約書などに明確に「固定残業代として支払う」旨の記載があったことを重視したものと考えられます。

(2019年07月11日 10時58分 更新)

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