山陽新聞デジタル|さんデジ

明治神宮の畳表「龍鬢表」を制作 御神座改修で福山の大村さん

明治神宮の御神座に使われる龍鬢表を作った大村さん
明治神宮の御神座に使われる龍鬢表を作った大村さん
 2020年の創建100年に向け本殿の改修工事をしている明治神宮(東京都渋谷区)で御神体を安置する新しい御神座(ごしんざ)に使われる畳表・龍鬢表(りゅうびんおもて)を福山市藤江町の畳表製造業大村琢也さん(80)が作った。御神座は改修工事が終わる今夏に搬入される予定で、大村さんは「誇りが持てる仕事ができて幸せ」と胸を張る。

 御神座は畳やござを何枚も重ねる造りとなっており、今回の龍鬢表もその一部となる。大村さんが手掛けたのは二つの御神座用の縦79センチ、横106センチと縦72センチ、横100センチの大小2枚。最初から日焼けした“黄金色”になっているのが特徴で、素材は福山、尾道市などで栽培された備後産のイグサにこだわった。デザインは、同神宮の御神座で実際に使われていたものと同様に、しま模様のように赤や青に染められたイグサによる細い線が入るようにした。

 「苦労したのは2色の線を入れる制作方法の資料がなかったこと。手掛かりは明治神宮の実物だけだった」と大村さんは振り返る。

 同神宮の改修工事に合わせて約60年ぶりに御神座を新しくする計画があり、奈良の畳店を介して職人として50年以上の経験がある大村さんに昨年7月に依頼があった。高級花ござ・錦莞莚(きんかんえん)の資料が残る倉敷市の磯崎眠亀記念館に足を運ぶなどして何度も試作を重ね、今年3月に仕上げた。

 制作した2枚は既に奈良の畳店などに運ばれており、ほかの畳などと合わせて御神座が完成するという。

 福山は高級畳表「備後表」の産地として知られるが地元産のイグサによる製品は少なくなり、担い手不足も深刻化している。大村さんは「大きな仕事で最初は断ろうとも思ったが、伝統を絶やしたくないという思いで引き受けた。やり遂げることができうれしい」と話している。

 龍鬢表 畳表の一種。普通の畳表と違い、イグサを10~40日間ほど干して“黄金色”にしてから織られるのが特徴。使っているうちに変色することがなく、主に床の間や五月人形、ひな人形の飾り畳などに使われる。

(2019年06月19日 20時26分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ