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ニーズに応え玉野市立病院を改善 平成博愛会の武久洋三理事長語る

市役所でインタビューに応じる平成博愛会の武久理事長
市役所でインタビューに応じる平成博愛会の武久理事長
 赤字経営が続く玉野市立市民病院の立て直しに向け、同市は2016年度から3年間、経営指導を受けていた医療法人・平成博愛会(徳島市)との包括協定を4月から1年間、延長した。患者の早期在宅復帰を図るリハビリの充実など医療の質を高めながら、医業収支の赤字を年間3億円以上圧縮。5月に市を訪れた同会理事長の武久洋三・日本慢性期医療協会長に考えを聞いた。

 ―医業収支の赤字額は一時、年間5億4千万円余りに上った。

 医療機関に医療行為の対価として支払われる診療報酬の制度は、公立病院であろうと民間病院であろうと普通に医療を提供すれば、2、3%の黒字が出るようになっている。公立病院は不採算医療をしているが、それが赤字の原因ではない。医療はサービス業。市民のニーズに応えていないから全国の公立病院は赤字になっている。

 ―18年度の赤字は約2億円まで減る見込み。

 高齢化率37%という玉野の地域性を考えると、ニーズの高い医療はリハビリ。早期の在宅復帰を図る「回復期リハビリ病棟」での重症患者の回復率は、70%前後と質の高い医療を提供できている。患者1人につき受け取れる診療報酬の額も上がった。さらに、以前は病院ベッドの稼働数が70~90床にとどまっていたが、今は120~130床。収益は大幅に改善した。

 ―市民病院のリハビリは、患者が再び口から食事をとること、排せつができることを重視している。

 平成博愛会の関連病院で実施した食べ物を飲み込む訓練の結果を検証したところ、鼻からチューブを通す経鼻栄養や胃ろうなどに頼らず口から食事をとる人が12%から75%に増えた。排せつの訓練の結果、夜間におむつが不要な患者は4%から13%となった。誰でも自分のことは自分でしたい。できるだけ早く患者を日常生活に戻すのが病院の使命だ。

 ―救急患者の受け入れは。

 提携前、市内の医療機関が受け入れる救急搬送件数のうち、市民病院の割合は28%だったが、昨年は51・5%に増えた。内科、外科のどちらでも患者を受け入れられるように夜間の当直体制を見直した。市民病院の医師は岡山大出身の優秀な医師ばかり。意識改革ができれば病院は良くなると思っていた。

 ―玉野三井病院との経営統合に向けた協議が行われている。

 統合できれば、新病院で力を入れたい医療は理学療法士らが患者宅に出向いて訓練を施す訪問リハビリ。患者が住み慣れた自宅で自分らしく生き生き生活できるよう、医療環境を整えたい。

 市立市民病院の立て直し 1992年度から赤字が続く市民病院の経営を民間手法で改善しようと、市は2015年に指定管理者制度の導入を検討。いったんは大阪市の医療法人が管理者に決まりかけたが、同法人は辞退。その後、全国各地の病院を再建してきた平成博愛会に立て直しを依頼し、16年度から3年間の包括協定を結び、経営指導を受けた。毎年の赤字額は減少しているものの、累積赤字は17年度決算で約43億円。

(2019年06月06日 09時46分 更新)

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