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豪雨の苦難越え大豊作の「麦秋」 ドローンで倉敷・真備の畑を空撮

麦の収穫が進む倉敷市真備町服部地区の畑=23日午前10時50分(小型無人機から)
麦の収穫が進む倉敷市真備町服部地区の畑=23日午前10時50分(小型無人機から)
大麦を刈り取る服部営農組合のコンバイン
大麦を刈り取る服部営農組合のコンバイン
出来栄えを確かめる水川代表(左)と多田代表理事
出来栄えを確かめる水川代表(左)と多田代表理事
 昨夏の西日本豪雨で大きな被害を受けた倉敷市真備町服部地区。23日、小型無人機ドローンで空撮すると、金色の“絨毯(じゅうたん)”のような麦畑が広がっていた。復興に向け苦難を乗り越えてきた現地は今、待ちに待った「麦秋」を迎えている。

 穂先が風に揺れる畑の中を地元の集落営農法人・服部営農組合のコンバインが行き来する。刈り取りが終わった後には、きれいな直線で描かれた幾何学模様が浮かび上がった。

 この一帯は小田川の支流・真谷川の決壊で堤防と同じ高さまで冠水した。ブルーシートのかかった工事現場に目をやると、今もパワーショベルが忙しげに働いている。

 麦畑の周りの農地では既に稲作の準備が進んでおり、夏には青々とした田園風景が再び見られるだろう。同組合の水川實夫代表(75)は「一時は農業を諦めかけたが、やっと収穫までたどり着けた」と、ほっとした表情で話した。

 

「復興へうれしい誤算」と関係者笑顔


 昨年7月の西日本豪雨で大きな被害を受けた服部営農組合が、被災後初めて大麦の収穫期を迎えた。かつてないほどの豊作に恵まれた麦畑では、作業に追われる関係者の笑顔が広がっている。

 「これほど出来が良いとは。どれくらい取れるのか見当もつかない」。水川實夫代表(75)の日に焼けた顔が思わずほころぶ。豪雨では近くを流れる小田川支流の真谷川が決壊し、米と大麦を栽培する同組合の農地16ヘクタール全てが冠水。「水と一緒に養分が流れ込み、土が一気に肥えたのではないか」と水川代表は言う。

 多くの人たちの協力で、ようやくこぎ着けた収穫だった。被災当初、泥水とともに農地に流れ着いた大量のごみの撤去には延べ約200人のボランティアの手を借りた。その後も支援の申し出が相次ぎ、排水路の掃除や草刈りなど最終的には延べ300人を超える人が栽培再開を支えた。

 今期、大麦を植えたのは約8ヘクタール。このうち1・2ヘクタールには岡山大資源植物科学研究所(同市中央)が開発したビール用品種「はるな二条HKI」が見事な穂を実らせていた。原料生産から加工までを岡山県内で行う「純県産ビール」を造るため、地元で精神障害者を支援するNPO法人・岡山マインドこころ(同町箭田)が栽培を依頼したものだ。

 23日には同NPOの多田伸志代表理事(58)が刈り取りの様子を見に訪れた。同NPOも障害者が働く場として整備した製麦施設が全壊。いまだ復旧の途上にあるが、大手ビールメーカーなどの協力を得ながら同組合産の麦を使ったビール造りを年内には始めたい、という。

 多田代表理事は「向こう何年かはここで農業をするのは難しいと思っていただけにうれしい誤算だった。一日も早くビールを完成させ、地元の人たちを元気づけたい」と話す。

(2019年05月23日 23時40分 更新)

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