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岡山県産ブドウ栽培面積持ち直し 自治体が支援、県外からも就農者

新見市と岡山県が整備したブドウの生産団地=同市豊永宇山
新見市と岡山県が整備したブドウの生産団地=同市豊永宇山
地元農家からブドウの栽培について教わる杉本さん(中央)=新見市豊永宇山
地元農家からブドウの栽培について教わる杉本さん(中央)=新見市豊永宇山
 新見市南東部にある山あいの豊永地区。林に囲まれた広大な土地にブドウ棚が整然と並ぶ。同市と岡山県が約2年前に整備した生産団地だ。

 フルーツ王国・岡山を代表するブドウの栽培面積が持ち直しつつある。農家の高齢化や担い手不足で全国の栽培面積が下降線を描く中、2018年の岡山県内の面積は1220ヘクタールと前年より10ヘクタール増加した。自治体による生産団地の造成や新規就農者向けの支援策が“呼び水”となり、県外からの就農者もここ5年で50人近くに上っている。

割安賃借料や苗木購入補助


 「とにかく無事に育てることが第一目標。収穫が楽しみやね」

 新見市と岡山県が2017年に造成した豊永営農団地(約2ヘクタール)。今年1月に大阪府から夫婦でIターンした杉本昌幸さん(50)がその一画で、植えたばかりのピオーネの苗木を見やった。

 父が経営していた板金塗装会社が廃業したのを機に、第二の人生を農業に求めた杉本さん。父の実家がある鳥取県倉吉市の周辺で就農先を探す中、新見市を選んだ決め手になったのは、岡山県や市による手厚い支援だった。

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 杉本さんは団地内の50アールを賃借。かんがい施設や作業道が整備されていながら、10アール当たりの年間賃借料は2万円と市内の平均より1割以上安い。栽培棚や苗木の購入費は、半額を市などの補助で賄えた。

 就農前の研修時に年150万円を支給する岡山県独自の制度(最長2年間、55歳未満の人のみ)も大きかった。就農後1年間は市が90万円を補助する仕組みもある。「出荷できるようになるまで収入はゼロ。その間をどう乗り切るかが不安だったが、行政の補助が後押しになった」と杉本さんは振り返る。

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 全国のブドウの栽培面積は1979年の3万300ヘクタールをピークにこの約40年間で4割減った。60年代に2200ヘクタールを超えていた岡山も90年代には1200ヘクタールを割り込んだが、ここ15年ほどは緩やかな回復基調にある。

 東京、大阪といった大市場で高値で取引される岡山県産ブドウの収益性は、新規就農者にとって魅力的だ。そこに県が02年ごろから、生産基盤の整備を狙いに、営農団地の造成や遊休農地の再生、資材費の補助といった支援事業を打ち出した。新見市のほか、吉備中央町も大規模な営農団地の整備を順次進めている。

 県内のブドウの新規就農者数は年間30~50人で、その4分の1が県外からの移住組。豊永営農団地では杉本さんのほかにも、長野県から移住した夫婦が今春からピオーネを栽培している。

 岡山県農産課は「県産ブドウには潜在的な伸びしろがある。しっかりと受け入れ態勢を整え、県内外の就農希望者を確保していきたい」としている。

(2019年05月10日 23時32分 更新)

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