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人工呼吸器使う児童を受け入れ 早島支援学校、医療機関と連携

早島支援学校の教員と電子端末やノートでコミュニケーションを取る新井君(中央)
早島支援学校の教員と電子端末やノートでコミュニケーションを取る新井君(中央)
 早島支援学校(早島町早島)は、岡山県内の特別支援学校で初めて、人工呼吸器を使う児童を受け入れている。日常的に医療行為の援助が必要な「医療的ケア児」が増える中、保護者らの要望を受けて実現。医療機関との連携や看護師の増員などで、学校生活をサポートしている。県教委は今後、他校の医療的ケア児対応の参考にする方針。

 「うれしい」「だいじょうぶ」。同校の新井煌(らいと)君(11)が、肢体不自由な人が意思伝達に使う電子端末を右足首のわずかな動きで操作しながら、教諭や看護師とコミュニケーションを取る。

 新井君は筋力が徐々に低下する難病・脊髄性筋萎縮症のため、生後2カ月で気管切開。発声は難しく、人工呼吸器を常に装着している。

 県教委は2016年度から、人工呼吸器を使う子どもの特別支援学校への受け入れについて検討。「医師が通学可能と認めている」「人工呼吸器の操作や調整が必要ない」など六つの受け入れ条件をまとめ、自宅で訪問教育を受けていた新井君を18年度から早島支援学校への通学に切り替えた。

 同校は同年度、高度な医療的ケアを実施する文部科学省の事業でモデル校に指定。緊急時に医療行為を受けられるよう、隣接する南岡山医療センターに対応を依頼したほか、校内の看護師は2人増員して22人を配置した。停電時に人工呼吸器が動かない事態に備えて非常用発電機も導入し、受け入れ体制を整えた。

 新井君は、宿泊学習や文化祭など1年間の集団生活を通して友人と交流。同校は「少しずつ積極的に人と関わりたいと思うようになってくれている」とする。

 県教委は同校の取り組みを踏まえ、医療的ケア児への対応をガイドラインにまとめた。他の特別支援学校で受け入れる際に活用していく。

 岡山市の公立小中学校に2人が通学しているケースはあるが、人工呼吸器が必要な子どもの家族らでつくる「バクバクの会」中国支部岡山エリアの足立真悟幹事は「これまで行政は人工呼吸器をつけた子どもの通学に消極的だった。まだまだ設備面やスタッフ不足などの問題があり、学校現場でさらに理解が広がってほしい」と話している。

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 医療的ケア児 人工呼吸器の装着や、気管切開に伴うたんの吸引、鼻からチューブで栄養を送り込む「経管栄養」といった医療行為が日常的に必要とされる子ども。文部科学省の調査によると、全国の公立の特別支援学校で2017年度に8218人が在籍しており、10年前に比べて約2000人増えている。

(2019年04月24日 16時47分 更新)

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