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岡山で「日本国憲法を踊る」体験 舞踏家・笠井叡がワークショップ

笠井(右)の指導で独特の呼吸法を練習するワークショップ参加者
笠井(右)の指導で独特の呼吸法を練習するワークショップ参加者
 国際的な舞踏家として活躍する笠井叡(あきら)(75)=東京=を招いたワークショップ「日本国憲法を踊る」が1~3日、岡山市で開かれた。岡山県内外から劇団員や一般人ら約30人が参加。笠井の実践する呼吸法などを体験しながら、頭ではなく、身体そのもので憲法の理念を感じた。

 笠井は2013年からワークショップと同名の舞台を上演し、好評を博している。今回も19年度に岡山市で予定する公演の一環だ。

 「息を吸いきったら、天から力を引き下ろすように。断続的に、激しく」。笠井の指示に参加者は両手を上げ、空から何かを引きずりおろすように、激しく動き回り、床にはいつくばる人もいる。「今度は息を吐ききって、地面からゆっくりと頭部まで柔らかい力を引き上げる」と独特の呼吸法を繰り返す。

 若くして舞踏の第一人者の土方巽、大野一雄らと親交を深めた後、ドイツで身体表現の礎となる思想を学んだ笠井。01年初演の独舞「花粉革命」は国内外で高い評価を得て、13年度には芸術選奨文部科学大臣賞に選ばれた。「日本国憲法を踊る」は現行憲法を中心に、影響を与えたフランス人権宣言、大日本帝国憲法などの朗誦(ろうしょう)に合わせ、熱量あるパフォーマンスを繰り広げる。

 後半は、実際に憲法9条、12条を朗誦しながら体を動かした。笠井は「(戦争を放棄する)9条を表現するには、息を吸いきり、死者たちの声を上から引き下ろして体に入れるイメージ」などと助言。参加者は練習した呼吸法を生かしながら憲法と身体を結びつけた。

 笠井が憲法を踊り始めたのは、安倍政権が改憲へ進み始めてから。「政治には興味はない」と前置きしながらも、今の日本の不穏な空気に危機感を感じている、という。「憲法を取り込むことで、身体が暴力に向かうことを断念し、(今の日本と違う)新しい国の種をまこうとする」。平和憲法を身体表現する意義を、穏やかな口調で語る。

 ただ今の世の中に絶望している訳でもなさそうだ。「だって岡山の人たちが、こんなにワークショップに参加してくれることは、すごいことだからね」と笑った。

(2019年03月29日 21時33分 更新)

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