山陽新聞デジタル|さんデジ

障害乗り越え64歳の春 岡山の楠田さん中国短大卒業

学長の特別表彰を受ける楠田さん(左)
学長の特別表彰を受ける楠田さん(左)
 脳梗塞の後遺症を抱える岡山市中区、楠田賀陽さん(64)が20日、中国短大(同市北区庭瀬)を卒業した。動かない左半身に脳の障害も残り、苦難を乗り越えて迎えた晴れの日。楠田さんは「学ぶことは自分が生きている証し。まだまだ学び続けたい」と語り、4月からは4年制の大学へ編入する予定だ。

 楠田さんは高校の教員だった2011年5月、校内で突然倒れた。左半身が不随となり、直前の出来事を忘れやすい高次脳機能障害も残った。約1年の入院を経て両親が住む実家に戻ったが、仕事を失い、家に引きこもる日々が続いた。

 「残りの人生、このままでいいのか」との自問自答の末、アパートで1人暮らしを始めたのは16年7月。社会人向けの生涯学習講座に参加、講師を務めていた同短大の藤田悟准教授(53)に出会い、「この人にファッションやデザインを学びたい」と受験を決意。社会人特別入試を突破し、17年春に入学した。

 不自由な体ながらも車を運転して通学。高次脳機能障害で記憶が難しいため、講義内容は全てメモを取り、何度も読み返してリポートを作成した。Tシャツや名刺のデザインにも積極的に挑戦し、藤田准教授は「学ぶ姿勢が他の学生の模範だった」と言う。

 卒業式では、そうしたことが評価されて学長の特別表彰を受けた楠田さん。4月からは高校事務員として働きながら、通信制の4年制大学で学ぶ予定で、「自分の姿が、同じ病気や年を重ねた人たちの励みになればうれしい」と話している。

(2019年03月20日 22時41分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ