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希望のピオーネ 真備で芽吹く 夏に向け農家の作業本格化

生えたばかりのブドウの芽をいとおしげに眺める井上さん
生えたばかりのブドウの芽をいとおしげに眺める井上さん
 ごつごつとした枝の脇からエメラルドグリーンの若芽がにょきにょきと顔をのぞかせている。昨年7月の西日本豪雨で被災したブドウ農家井上幸弘さん(65)=倉敷市真備町地区=のハウスは今、芽吹きの春を迎えている。

 特産のピオーネを栽培する自宅近くのハウス(25アール)は、地区を流れる小田川の決壊で約1・5メートルの高さまで水没し、出荷直前の約9千房が駄目になった。60本余り植わった木も丸3日根が水に漬かったまま手の施しようがなかった。長時間、窒息状態になった影響で一時は枯れることも覚悟したが、復活を信じて枝を剪定(せんてい)し、病気を防ぐために泥がこびり付いた樹皮をはがして春を待っていた。

 「例年のようにしっかりとした芽が出てくれた。これなら大丈夫かな」と目を細める井上さん。15年以上丹精してきた木は、人間でいうとちょうど働き盛りの“壮年期”。冬の休眠から覚めて急激に水を吸い上げ、芽に養分を送り始めているといい、耳を澄ませばその脈動が聞こえてきそうだ。

 枝の誘引や種をなくすジベレリン処理など夏に向かって作業が本格化し、7月中旬の出荷を目指す。井上さんは「今年も水害が起こるのではとの不安は消えないが、楽しみにしてくれている人たちのためにおいしいブドウを育てたい」と話している。

(2019年03月08日 22時46分 更新)

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