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ミトコンドリア病治療薬 承認へ 川崎医科大・砂田教授の治験で

メラスの治療薬につながった臨床試験の成果について発表する砂田教授
メラスの治療薬につながった臨床試験の成果について発表する砂田教授
 川崎医科大は19日、砂田芳秀教授(神経内科学)の研究グループが臨床試験(治験)に使った既存薬が、国指定難病・ミトコンドリア病の国内初の治療薬として承認される見込みになったと発表した。ミトコンドリア病で最も発症頻度が高い「MELAS(メラス)」の患者がアミノ酸の一種タウリンを大量に服用することで、体のまひや視覚異常といった脳卒中に似た発作を抑えられるという。厚生労働省が近く正式承認後、保険適用される。

 既存薬は大衆薬最大手・大正製薬(東京)の「タウリン散」。心不全や肝機能が低下した患者に対して1日3グラム(1グラム8・5円)が処方されているが、メラスの患者が治療薬として使う場合は1日12グラムを飲む。

 メラスの症状は国内の先行研究によって、体内の遺伝子変異で細胞内にアミノ酸を運ぶRNAにタウリンがくっつきにくくなり、ミトコンドリアによるタンパク質の合成が阻害されて起きることが分かっていた。

 砂田教授らはタウリンを大量投与すれば症状が改善すると仮定し、2013、14年度に治験を行った。メラスの患者10人にそれぞれ1年間投与したところ、6人は発作が全く起きず、他の患者は発症頻度が下がった。同社が承認手続きを進め、1月31日に厚労省の部会が承認を了承した。

 倉敷市松島の同大で記者会見した砂田教授は「治療薬が確立されていなかったメラスにタウリンが効くと分かったことは意義がある。既存薬は新規開発薬に比べ安価なため、医療経済的にもメリットがある」と話した。

 ミトコンドリア病 エネルギーをつくる細胞内小器官・ミトコンドリアの遺伝子に変異があると発症し、脳疾患や不整脈、筋力低下などを引き起こす。母親から遺伝することで知られ、根本的な治療法は見つかっていない。砂田教授らの調査では、ミトコンドリア病のうちメラスの患者は全国に300人前後いるという。

(2019年02月19日 14時18分 更新)

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